セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-基礎2

タイトル 消P-517:

膵島細胞のインスリン発現、アポトーシス誘導における膵星細胞の関与に関する解析

演者 菊田 和宏(東北大大学院・消化器病態学)
共同演者 正宗 淳(東北大大学院・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】慢性膵炎に伴う膵性糖尿病では、膵切除標本の病理組織学的解析や膵内分泌負荷試験、実験動物モデルにおける解析などに基づいて、膵線維化と血管障害の進展に伴う膵島数の減少、インスリン分泌障害、ならびにインスリン抵抗性の関与が報告されているが、その進展機序の詳細は明らかでない。近年、膵の炎症と線維化における膵星細胞の役割が注目されているが、膵星細胞の膵性糖尿病進展への関与については明らかでない。今回、活性化膵星細胞が膵島細胞に与える影響について解析した。
【方法】膵星細胞はWistar系雄性ラットより分離し培養により活性化したものを実験に用いた。膵島細胞として、ラット細胞株RIN-5F細胞を用いた。1.0μm径の孔のあいたカルチャーインサートを用いて、RIN-5F細胞と活性化ラット膵星細胞を非接触下に共培養し、1)RIN-5F細胞のインスリンmRNA発現をreal time PCR法により、2)培養上清中へのインスリン分泌をELISA法により、3)RIN-5F細胞のアポトーシスを細胞内ヒストン結合DNA断片化の定量により検討した。酸化ストレスの関与についても検討した。
【成績】活性化膵星細胞との共培養により、RIN-5F細胞のインスリンmRNA発現は低下した。共培養により、培養上清中へのインスリン分泌も低下したが、グリベンクラミドによる分泌刺激に対する反応性は保たれていた。また、活性化膵星細胞との共培養は、RIN-5F細胞のアポトーシスによる細胞死を誘導した。
【結論】ラット活性化膵星細胞はRIN-5F細胞のインスリン発現を抑制するとともにアポトーシスを誘導した。膵星細胞が膵島細胞に量的ならびに質的な変化をもたらすことにより、膵性糖尿病進展に関与していることが示唆された。
索引用語 膵星細胞, 膵性糖尿病