セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-基礎2

タイトル 消P-518:

内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)前後における血漿ADAMTS13活性とVWF抗原の動態

演者 森岡 千惠(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
共同演者 植村 正人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 高谷 広章(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 才川 宗一郎(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福本 江梨(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 堂原 彰敏(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 武山 真也(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 沢井 正佳(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 吉田 太之(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 山尾 純一(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 松本 雅則(奈良県立医大・輸血部), 藤村 吉博(奈良県立医大・輸血部), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
抄録 【目的】重症急性膵炎(SAP)は、高率に多臓器不全を来たす予後不良な疾患である。ADAMTS13は血小板と最も反応性に富む超高分子量VWF multimer(UL-VWFM)を切断するが、本酵素活性が低下するとUL-VWFM が増加し、血栓が形成され、諸臓器の微小循環障害が惹起される。われわれは、すでにSAP発症早期において血漿ADAMTS13活性が低下し、VWF抗原が増加し、さらに重症例においてUL-VWFMを検出すること、病態の改善とともにこれらが正常域に復することを示した。今回われわれは、ERCP前後のADAMTS13活性とVWF抗原の動態とその意義について検討した。【方法】対象はERCP施行22例。男性11例、女性11例。平均年齢67.7歳(38歳~88歳)であった。ERCP前、ERCP後3時間、翌朝に血漿ADAMTS13活性、VWF抗原を測定した。ADAMTS13活性ならびにVWF抗原は、ELISA法にて測定した。【成績】ERCP後に重症急性膵炎を発症した1例では、ADAMTS13活性は、ERCP前50%, 後3h 53%, 翌朝24%と半減したが、VWF抗原は変化なかった。一方、ERCP前より胆管閉塞により胆管炎を発症していた2例では、ADAMTS13活性は変化しなかったが、ERCP前に増加したVWF抗原は内視鏡的ドレナージ術後すみやかに低下した(前311% → 3h後232% → 翌日101%, 前333% → 3h後346% → 翌日116%)。その他の19例において、ADAMTS13活性、VWF抗原はERCP前後で有意な変化を示さなかった。【結論】ERCP後のADAMTS13活性の動態は、膵炎あるいは胆管炎等による急性炎症性反応の消長と関連する可能性があると考えられた。
索引用語 ERCP, ADAMTS13