セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓-診断・急性膵炎 |
---|---|
タイトル | 消P-522:膵上皮内癌診断における膵管異常の拾い上げ |
演者 | 多田 大和(川崎医大・肝胆膵内科学) |
共同演者 | 吉田 浩司(川崎医大・肝胆膵内科学), 中島 義博(川崎医大・肝胆膵内科学), 佐々木 恭(川崎医大・肝胆膵内科学), 森本 聖子(先端消化器画像研究センター), 野村 佳克(先端消化器画像研究センター), 長田 祐輝(先端消化器画像研究センター), 河瀬 智哉(川崎医大・肝胆膵内科学), 仁科 惣治(川崎医大・肝胆膵内科学), 富山 恭行(川崎医大・肝胆膵内科学), 吉岡 奈穂子(川崎医大・肝胆膵内科学), 石野 淳(先端消化器画像研究センター), 牛尾 純(先端消化器画像研究センター), 原 裕一(川崎医大・肝胆膵内科学), 宮田 英樹(先端消化器画像研究センター), 是永 圭子(川崎医大・肝胆膵内科学), 是永 匡紹(川崎医大・肝胆膵内科学), 浦上 淳(川崎医大・消化器外科), 岩尾 年康(先端消化器画像研究センター), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科学) |
抄録 | 【目的】膵癌は極めて予後不良であり、現時点での唯一の根治療法は上皮内癌や微小浸潤の段階で発見して外科的切除することである。画像診断の進歩により膵小腫瘤の発見は散見されるようになってきたが、上皮内癌の診断は極めて稀である。膵癌高危険群の囲い込みが確立されていない現状を踏まえ、当科および関連施設において診断された上皮内癌の臨床病理学的特徴をもとにして、早期膵癌診断契機としての膵管異常検出の有用性について検討した。【方法】1998年から2011年までに画像診断で腫瘤が確認できた膵癌456例(A群)と、US/CTで腫瘤は確認し得ず膵管異常のみを認めERCPおよび膵液細胞診をおこなった940例(B群)の両群における早期膵癌(上皮内癌および微小浸潤癌)診断率について比較検討した。【成績】A群456例のうち早期膵癌であったのは上皮内癌1例のみであった。B群940例のうち膵液細胞診にて腺癌細胞が検出されたのは11例(class5:3例、class4:8例、class3:76例)であり、B群のうち外科的切除となったものは13例(上皮内癌:7例、T1:5例(うち微小浸潤3例)、T2:1例)であった。早期膵癌11例(A群+B群:上皮内癌 8例,微小浸潤3例)のうち組織学的に病変の主座が主膵管に存在するものは2例、分枝にあるものは7例、主膵管および分枝の両方に存在するものは2例であった。これらのうち癌近傍のわずかな膵管異常や主膵管狭窄などの変化を膵管造影でとらえられたのは10例/11例であった。病変の主座が分枝膵管に存在する上皮内癌例でも主膵管の拡張を伴うものもみられた。早期膵癌11例のうち、術前のUS/CTで指摘された膵管異常の内訳は主膵管拡張6例、分枝拡張5例であった。【結論】わずかな膵管の変化をUS、CTでとらえ、積極的にERCPならびに細胞学的診断を行っていくことが現時点では腫瘤を形成しない早期の膵癌を発見する唯一の方法である。ただし精度と安全性に向上の余地がまだまだ残されているため、症例の蓄積を重ね、より確実により安全に診断できるよう工夫が必要である。 |
索引用語 | 早期膵癌, 膵管異常 |