セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-診断・急性膵炎

タイトル 消P-524:

内視鏡的乳頭切除術における術後膵炎予防の工夫-膵管ガイドワイヤー留置下内視鏡的乳頭切除術-

演者 原野 恵(山口大大学院・消化器病態内科学)
共同演者 戒能 聖治(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学)
抄録 【目的】近年、十二指腸乳頭部腫瘍に対する低侵襲治療として、内視鏡的乳頭切除術(endoscopic papillectomy:EP)が施行されている。我々は十二指腸乳頭部腫瘍に対して完全生検による診断および治療目的でEPを施行してきた。術後膵炎予防目的で膵管ステント挿入を行う方針であるが、膵管挿管不能で重症急性膵炎を発症した例も経験している。そのため我々は確実な膵管ステント留置を目指し、膵管ガイドワイヤー留置下EPを施行しており、その手技・結果を報告する。【対象】平成7年11月から平成23年3月までに33例(男女比21:12)にEPを施行し、最近の14例で膵管ガイドワイヤー留置下EPを施行した。【方法】ERCP、EUS、IDUS等で胆管膵管内進展と十二指腸固有筋層浸潤がないことを確認した上で、術を施行した。膵管ガイドワイヤー留置下EPでは膵管挿管を行い、絶縁加工された0.018インチのガイドワイヤーを膵管内に留置、ガイドワイヤーにスネアを被せて挿入し病変を把持・絞扼し切除する。スネア抜去後、ガイドワイヤーを目印に再度膵管挿管し2本目のガイドワイヤーを挿入、2本目のガイドワイヤーを用いて膵管ステントを挿入する。その後、1本目のガイドワイヤーと共に切除組織を回収する。【結果】本手技導入前は、膵管ステント挿入例の10例中1例(10%)にCotton分類の軽症膵炎を発症し、膵管ステント未挿入例の5例中1例(20%)に重症膵炎を発症しており、膵管ステント未挿入例での発症が多い傾向にあった。本手技導入後に通常のEPとなったのは4例(腫瘍サイズが大きい1例、術前膵管挿管不能2例、ガイド留置下での絞扼不良1例)であり、4例中1例(25%)で膵管ステント挿入不能となり軽症膵炎を発症した。本手技を施行できた14例全例で膵管ステント挿入可能であり膵炎の発症なく経過した。【結論】膵管ガイドワイヤー留置下EPでは、確実な膵管ステント留置が可能となり術後膵炎予防に有用であった。
索引用語 十二指腸乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭切除術