セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-自己免疫性膵炎

タイトル 消P-525:

モデルマウス(ALY)を用いた自己免疫性膵炎(AIP)の発症および進展の研究

演者 佐藤 悦基(昭和大・消化器内科)
共同演者 吉田 仁(昭和大・消化器内科), 岩田 朋之(昭和大・消化器内科), 山崎 貴久(昭和大・消化器内科), 湯川 明浩(昭和大・消化器内科), 野本 朋宏(昭和大・消化器内科), 本間 直(昭和大・消化器内科), 北村 勝哉(昭和大・消化器内科), 池上 覚俊(昭和大・消化器内科), 田中 滋城(東京有明医療大・保健医療学部), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)は膵病変のほか,胆道,唾液腺,後腹膜などの膵外臓器および組織に炎症が波及し,全身の多臓器を冒し,膵癌を合併する症例も報告されている.当施設ではAIPの病態を,動物モデルにALYマウスを用いて検討してきた.【目的】本研究では,ALYマウスを用いてAIPの膵における発症に加え,膵内外への進展について検討した,【方法】対照群をALY雄性マウスへテロ個体(aly/+),膵炎群を同ホモ個体(aly/aly)とし,膵,肝内胆管,顎下腺および脾について比較検討した.さらに,Th1賦活・Th2抑制作用を有するpolyphenylpropanoid-polysaccharide complex(PPC)を両群マウスに経口摂取させ,両群間の膵組織を比較検討した.【成績】対照群では,膵,肝内胆管,顎下腺に変化を認めなかったが,膵炎群では,膵小葉間領域からリンパ球優位の炎症細胞浸潤が生じ,線維化を伴った.肝小葉間胆管周囲には膵に遅れて炎症細胞浸潤と線維化が出現し,顎下腺には膵と同時期にリンパ球浸潤を主体とする炎症所見を認めた.免疫組織化学の検討では,膵炎群の膵,脾で,CD11b細胞と比較しCD11c細胞が優位に浸潤し,CD8T細胞と比較しCD4T細胞が優位に浸潤していた.IgG4の検討では,膵炎群の膵で,抗ヒトIgG4抗体陽性の細胞浸潤を認めたが,immunoblottingではIgG4 bandは微弱であった.PPCの効果の検討では,膵炎群で膵への炎症細胞浸潤の抑制が示された.【結論】本研究により,AIPでは,膵と同時期に顎下腺でも炎症が発症し遅れて肝小葉間胆管周囲に進展すると考えられる.発症にはCD11c細胞,CD4T細胞が関与し,進展にはTh2が主に関与すると推定される. IgG4細胞のAIPへの関与は否定的である.【謝辞】日本生物科学研究所の上田 進 先生,竹山夏実先生,上塚浩司先生とTampa Bay Research InstituteのDr. Akiko Tanakaのご尽力に深謝する.
索引用語 自己免疫性膵炎, ALYマウス