セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-自己免疫性膵炎

タイトル 消P-526:

自験例および動物モデルより検討したIgG4関連疾患の病態解析

演者 吉田 仁(昭和大・消化器内科)
共同演者 池上 覚俊(昭和大・消化器内科), 佐藤 悦基(昭和大・消化器内科), 田中 滋城(東京有明医療大・保健医療学部), 岩田 朋之(昭和大・消化器内科), 野本 朋宏(昭和大・消化器内科), 山崎 貴久(昭和大・消化器内科), 湯川 明浩(昭和大・消化器内科), 本間 直(昭和大・消化器内科), 北村 勝哉(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)は症例研究が進むに連れて,疾患概念がminor changeされたりIgG4関連疾患(IRD)の膵症状を主とする疾患とされたりtype別に分類されたり,国際診断基準作成にあたり変遷を辿ってきた.IRDは膵を主症状としない炎症性疾患も含まれ,多分野での検討がなされている一方で,消化器の中で胆膵以外の消化管,肝病変が本疾患と他属的に考えられることに違和感が残る.【目的】本研究では,本疾の臓器症状の移り変わりや予後などを自験例および動物モデルにより検討し,病態を解明する.【方法】自験IRD例,および,膵炎発症モデル動物のALYマウスのうちaly/aly雄性マウス(aly)を対象とし,膵および膵外病変について検討した.【成績】自験AIPは28例で男女比22:6,平均年齢66.4歳に対して,IRDは現在28例で男女比23:5,平均年齢67.2歳男女中間値年齢比67:71歳で,IRDはより男性に多く,女性例が高齢であった.IRD28例中膵病変が26例,膵外では胆管:顎下腺:後腹膜:腎:肺:下垂体病変が22(21例は膵頭部病変+):7:6:5:3:1例の順で多かった.Prednisolone(PSL)は黄疸,胆汁うっ滞,水腎症など有害症状が出現した22例に投与し,6例はPSL不使用であった.手術は膵・肝癌との鑑別困難,膵癌合併の理由で2例ずつ計4例に行われた.患者同意のもと肝生検した3例は小葉間胆管周囲にリンパ球・IgG4形質細胞を認め,PSL治療で軽快した.alyでは膵・顎下腺のCD11c細胞・CD4T細胞優位の細胞浸潤に遅れて,肝小葉間胆管周囲に同様の細胞浸潤を認めた.また,膵小葉間導管周囲にはIgG4形質細胞を認めた.【結論】IRD例はAIPより高齢で,膵体尾病変限局例では胆管病変を伴わない可能性がある.IRDでは膵癌合併に注意を要し,有害症状がなければPSL不使用で自然寛解しうる.IRD例の肝生検で確認された肝病変は,IRDモデルに用いたalyにも膵・顎下腺に遅れて出現し,IRDとの密接な関係が推定される.
索引用語 IgG4関連疾患, 自己免疫性膵炎(AIP)