セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-自己免疫性膵炎

タイトル 消P-529:

IgG4関連疾患の診断・治療の現状と問題点

演者 鷹取 元(金沢大・消化器内科)
共同演者 加賀谷 尚史(金沢大・消化器内科), 金子 周一(金沢大・消化器内科)
抄録 【目的】IgG4関連疾患は,疾患概念の浸透と血清IgG4測定により,その診断症例は増加している.一方,消化器医がIgG4関連疾患を診療する際に問題となる悪性腫瘍との鑑別については,IgG4検査, EUS-FNAなどの組織診断,PET-CT検査が広く応用され始めている.今回,我々は北陸地区の多施設での症例を集積し,近年の IgG4関連疾患の診療の変化と,悪性腫瘍との鑑別の問題点を明らかにする.【対象と方法】1995年より現在までに,当科および関連施設でIgG4関連疾患(もしくは自己免疫性膵炎)と診断・治療された74症例(IgG4群)を対象とし,2007年以前の47例(前期群)と,2008年以降の27例(後期群)にわけて診断,治療について比較した.また,IgG4関連疾患との鑑別を要した膵胆道癌6例について鑑別の問題点を検討した.統計学的解析にはχ2乗検定を用いた.【成績】IgG4群の診断時年齢は平均62.6歳で男61例,女13例であった。診断について,IgG4の測定率は前期群30例(64%)に対し,後期群は26例(96%)と増加していた. PET-CTも前期群1例(2%)に対し,後期群では11例(40.7%)と増加していた.PETの集積部位は膵のみが7例(58%),膵および膵外病変が5例(42%)であった.経皮やEUS-FNAによる生検による診断例は前期群6例(13%)に対し,後期群6例(23%)と有意に増加していた.治療内容はステロイド投与が前期群34例(72%),後期群(74%),外科的切除が前期群8例(17%),後期群3例(11%)と,あきらかな変化は認めなかった.また,IgG4関連疾患との鑑別を要した膵胆道癌6例では,IgG4 135mg/dL以上が3例(50%)含まれていた.治療前に生検により病理診断を得たのは2例(33%)だった.IgG4関連疾患と考えられ,ステロイドを投与されたのちに癌と診断されたのは2例(33%)だった.【結論】IgG4関連疾患74例と,鑑別を要した膵胆道癌6例について検討した.近年,診断方法やモダリティーに変化があるものの,依然としてIgG4関連疾患と膵胆道癌との鑑別が困難な症例が存在しており,今後さらなる診断能の向上が必要と考えられた.
索引用語 IgG4関連疾患, 自己免疫性膵炎