セッション情報 一般演題

タイトル 61:

急性胆嚢炎から肝内へ穿通が疑われた肝膿瘍の一例

演者 前島 早代(大森赤十字病院 消化器科)
共同演者 井田 智則(大森赤十字病院 消化器科), 寺野 敬一郎(大森赤十字病院 消化器科), 石井 寛裕(大森赤十字病院 消化器科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院 消化器科), 大原 洋(大森赤十字病院 消化器科), 古谷 亮(大森赤十字病院 消化器科), 後藤 亨(大森赤十字病院 消化器科)
抄録 【症例】79歳、男性。【主訴】食欲不振、右上腹部不定愁訴。【既往歴】76才時、脊柱管狭窄症。77才頃に胆石症、境界型糖尿病を指摘。【現病歴】平成18年6月中旬、上記主訴出現するも、症状の増悪無く医療機関は受診しなかった。6月26日、定期受診時の血液検査で肝機能異常と著しい炎症反応高値(WBC13900/μl、CRP32.27mg/dl)を指摘され精査加療目的に入院となった。腹部理学所見では明らかな疝痛発作、圧痛はみられなかった。腹部超音波で肝床部S5に径3cm大の辺縁不整・内部不均一な低エコー領域を認めた。胆嚢は胆石・胆泥で充満していた。明かな胆嚢腫大・壁肥厚は見られなかったが、胆嚢壁は体部胆嚢床で穿孔しており、肝床部の低エコー領域と連続していた。腹部CTではS5に最大径4cmの低吸収域を認め、MRIでは同部にT1強調では不均一な低信号、T2強調では不均一な低信号と高信号の混在した液体貯留を認めた。以上より胆嚢と交通した肝膿瘍と診断し、経皮経肝的肝膿瘍ドレナージ術を施行し、白黄色の穿刺液約80mlを吸引した。膿瘍造影では肝膿瘍と胆嚢は穿通していた。穿刺液培養ではEnterobacter cloacae(グラム陰性桿菌)を検出。細胞診では多数の炎症細胞を認めた。抗生剤(SBT/CPZ 2g/day)投与と生理食塩水による膿瘍洗浄を行い、7月13日には血液炎症所見、肝胆道系酵素の改善を認めた。7月15日、膿瘍造影施行し、膿瘍腔の著明な縮小を認め、胆嚢切除目的に外科転科の方針となった。胆嚢炎から直接肝へ穿通し肝膿瘍をきたした例は稀であると考えられ、文献的考察を含め報告する。
索引用語 肝膿瘍, 胆嚢炎