セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍1

タイトル 消P-532:

進行消化器癌患者における血漿VEGFと末梢血サイトカイン産生能・制御性Tリンパ球との関連についての検討

演者 坂元 直行(百万遍クリニック)
共同演者 古倉 聡(京都府立医大大学院・消化器内科学DELIMITER京都府立医大・がん免疫細胞制御学), 石川 剛(京都府立医大大学院・消化器内科学DELIMITER京都府立医大・がん免疫細胞制御学), 谷川 真理(百万遍クリニック), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学), 吉川 敏一(京都府立医大大学院・消化器内科学DELIMITER京都府立医大・がん免疫細胞制御学)
抄録 【背景】血管内皮増殖因子(VEGF)は腫瘍の進展において、血管新生および転移などに関与することが分かっている。さらに近年、VEGFのTリンパ球分化における関与や免疫抑制性未熟樹状細胞の集積への関与など、免疫機能への作用を示唆する報告もみられる。しかし、血漿VEGFが単核球などからのサイトカイン産生能や循環制御性Tリンパ球(Treg)数に与える影響についての報告はない。今回、進行膵癌、胃癌患者における血漿VEGF値と末梢血サイトカイン産生能およびTreg数との関連について検討した。【対象・方法】当院で治療を受けている進行膵癌33例、胃癌7例の計40例(男24例、女16例、平均年齢64歳)を対象とした。血漿VEGF値はELISAにて測定した。末梢血サイトカイン産生能は全血をphytohemagglutinin (PHA)で刺激し48時間後の上清中のサイトカイン値をmultiple cytokine array system(Bio-Plex)にて測定し、末梢血中Treg(CD4+foxp3+)数はFACSにて測定し、それぞれ血漿VEGF値との関連を解析した。【結果】血漿VEGF値と末梢血サイトカイン産生能との関連では、IFN-g産生能との間に負の相関関係を認めたが(r = -0.35, p = 0.025)、その他のサイトカイン産生能との間には関連はみられなかった。末梢血Treg数と血漿VEGF値との間にも統計学的に有意な関連は認めなかった。【結語】血漿VEGF値と末梢血IFN-g産生能には負の相関がみられ、VEGFは腫瘍免疫において重要なTh1を中心とした免疫機能を抑制している可能性が示唆された。本研究からVEGFは免疫増強の観点からもがん治療のターゲットとなる可能性が示唆された。現在VEGFが単核球サイトカイン産生能に及ぼす影響について基礎的検討を行っており、この結果も含めて報告する。
索引用語 腫瘍免疫, VEGF