セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍1

タイトル 消P-533:

K-ras遺伝子解析を用いた膵腫瘍の悪性度・予後予測の検討-EUS-FNA検体を用いて

演者 小倉 健(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科)
共同演者 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 原 和生(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 今岡 大(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 近藤 真也(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 田中 努(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 永塩 美邦(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 羽場 真(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 大林 友彦(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 品川 秋秀(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 細田 和貴(愛知県がんセンター中央病院・遺伝子病理診断部), 矢田部 恭(愛知県がんセンター中央病院・遺伝子病理診断部)
抄録 【背景】K-ras遺伝子変異は膵管癌(PC)の90%以上に認められる。既に我々は、EUS-FNA検体を用いたK-ras遺伝子変異の解析が、膵腫瘤に対する良悪性の鑑別に有用であることを報告してきた。しかし、K-ras遺伝子変異の有無や変異の種類において膵腫瘍の悪性度・予後予測を行った報告は少ない。 【目的・方法】2004年3月から2009年9月までに膵腫瘤性病変に対してEUS-FNAが施行され同時にK-ras遺伝子解析を行った411例のうち、PC323例、膵内分泌腫瘍21例を対象とした。K-ras遺伝子解析にはCycleave PCR法+Direct sequence法を用いた。(1)膵管癌の予後予測、(2)膵内分泌腫瘍の悪性度・予後予測、についてEUS-FNA検体を用いたK-ras遺伝子変異の解析が有用か否かretrospectiveに検討した。【成績】(1)K-ras遺伝子変異は膵管癌の86% (278/323)に認められた。PC323例のうち、切除不能進行膵癌は256例で、K-ras遺伝子変異なし(n=34)のMSTは479日、K-ras遺伝子変異あり(n=222)のMSTは270日であり、K-ras遺伝子変異のないPCの方が予後が約2倍と良好であったが、統計学的有意差は認められなかった(P=0.147 HR:1.448 95%CI 0.898-2.206)。非切除222例のMSTをK-ras遺伝子変異の種類別に解析すると、G12D(n=122) 268日、G12V(n=82) 307日、G12R(n=16) 245日で統計学的有意差を認めなかった(P<0.394)。(2)膵内分泌腫瘍21例のうち2例(10%)にK-ras遺伝子変異を認め、2例ともにNECであった。【結論】PCにおいてK-ras遺伝子変異の有無は,MSTを予測する因子となりうる可能性が示唆されたが、更にsub解析を加え報告したい。膵内分泌腫瘍においては、K-ras遺伝子変異が認められた場合はNECの可能性が高く悪性度の指標になると考えられた。
索引用語 KRAS, 膵癌