セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍1

タイトル 消P-534:

末梢血サイトカインプロファイルからみた膵癌の悪性度 ―特にQOLに関しての検討―

演者 石川 剛(京都府立医大大学院・消化器内科学DELIMITER京都府立医大・がん免疫細胞制御学)
共同演者 古倉 聡(京都府立医大大学院・消化器内科学DELIMITER京都府立医大・がん免疫細胞制御学), 坂元 直行(百万遍クリニック), 土屋 礼子(京都府立医大大学院・消化器内科学), 岡嶋 学(京都府立医大大学院・消化器内科学), 松山 竜三(京都府立医大大学院・消化器内科学), 坂井 宏実(京都府立医大大学院・消化器内科学), 吉田 直久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医大大学院・消化器内科学), 高木 智久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学), 小西 英幸(京都府立医大大学院・消化器内科学), 八木 信明(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】膵癌は悪性度が極めて高く、その生命予後は悪性腫瘍の中で最も不良なものの一つである。さらに膵癌は悪液質や疼痛等のがん関連症状の出現頻度が高く、QOLの観点からも悪性度が高い。一方、がん関連症状と循環サイトカインの関連性についての報告が近年いくつかみられる。今回、末梢血サイトカインプロファイルから進行膵癌患者のQOLについて検討した。【対象・方法】膵癌患者46例(男22例、女24例、平均年齢63歳)と、コントロールとして非癌患者22名の27種類の血漿中サイトカイン値をmultiple cytokine array system(Bio-Plex)にて測定し、比較検討した。膵癌患者については、全身状態の評価をPerformance status(PS)および Glasgow Prognostic Score(GPS)で、QOLの評価をEORTC QLQ C-30を用いて行い、血漿サイトカイン値との関連を解析した。【結果】膵癌患者群とコントロール群との比較では、27種類のサイトカインのうち、IL-5, IL-8, IL-10, IL-17, TNF-α, FGF, PDGF, GM-CSF, IP-10, MCP-1 MIP-1β, VEGF値が両群間で統計学的有意差を認めた。これら12種のサイトカインについて、PSおよびGPSとの関連を検討すると、PSではIL-8(r=0.295, p=0.049)とVEGF(r=0.398, p=0.0067)、GPSではVEGF(r=0.549, p=0.0002)との間に有意な正の相関を認めた。また、各種QOLスケールとの関連について多変量解析を行うと、physical functioning, nausea, appetite lossではVEGF値が、fatigue, painではIL-8値がそれぞれ独立した説明変数であった。【結語】進行膵癌患者において、血漿IL-8, VEGF値とQOL低下に関連を認めた。これらangiogenic factorsは腫瘍の進展のみならず、患者のQOLに悪影響を及ぼしている可能性もあり、膵癌患者のQOL改善という観点からも再評価する必要がある。
索引用語 膵癌, サイトカイン