セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍2

タイトル 消P-538:

当院における膵癌の患者・臨床背景とリスクファクターの検討

演者 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【目的】画像機器の進歩に伴い膵癌の診断能は向上してきたが、なお発見時には進行しており切除不能であることが多い。早期発見のためには、高危険群を設定し積極的にアプローチをする事が重要である。今回我々は膵癌の患者・臨床背景を詳細に解析し、リスクファクターおよび問題点を検討した。【方法】2003年7月~2011年2月の間に当院で経験した膵癌153症例(男100:女53,平均年齢66.7歳,部位Ph:Pb:Pt=88:45:20,病期I:II:III:IVa:IVb=4:7:26:37:79)を対象とした。対照群は同期間に便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した者のうち、性別、年齢を一致させた153例とした。患者背景としてBMI、喫煙歴、飲酒歴、癌家族歴、既往歴(糖尿病、慢性膵炎、IPMN、他癌既往など)を症例対照間で比較し、血液型、B肝炎ウイルス感染既往についても確認した。臨床背景として膵癌症例における初診時主訴、部位、病期の関連を検討した。【結果】症例対照間の比較において、65歳未満で癌家族歴の頻度が高かった(53.6%;p=0.048)。男性では今回、喫煙率に差を認めなかったが、糖尿病と他癌既往の頻度が高く(34.0%;p=0.016,30.0% ; p=0.030)、女性では有意なものはなかった。他癌既往36例(男30:女6)の内訳は、胃癌13例、大腸癌11例、頭頚部癌4例、腎癌4例、肝癌3例、前立腺癌2例、肺癌2例、その他3例であった(重複症例あり)。血液型はA型にやや多い傾向(45.7%;p=0.064)で、肝炎ウイルスはB型が11例(7.2%)、C型が5例(3.7%)であった(重複症例1例)。膵癌症例の検討では初診時主訴として食思不振がStageIVに多い傾向にあった(25.0% ; p=0.049)。病変部位の特徴として65歳以上ではPhが女性に多く(69.8% ; p=0.020) 、全例が非喫煙者であった。【結論】男性では消化管癌を中心とした他癌既往が新たな危険群の候補となる可能性が示唆された。高齢女性ではPh病変が多かったが、特徴的なリスクはなく今後の課題と考えられた。また膵癌の早期発見につながる特徴的な症状はなく、有症状例では進行して発見される事が多かった。
索引用語 膵癌, リスクファクター