セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍2

タイトル 消P-541:

術後1年以内に死亡した浸潤性膵管癌切除例の検討

演者 木村 健二郎(大阪市立大・腫瘍外科学)
共同演者 山田 靖哉(大阪市立大・腫瘍外科学), 天野 良亮(大阪市立大・腫瘍外科学), 村田 哲洋(大阪市立大・腫瘍外科学), 野田 英児(大阪市立大・腫瘍外科学), 久保 尚士(大阪市立大・腫瘍外科学), 田中 浩明(大阪市立大・腫瘍外科学), 六車 一哉(大阪市立大・腫瘍外科学), 八代 正和(大阪市立大・腫瘍外科学), 前田 清(大阪市立大・腫瘍外科学), 仲田 文造(大阪市立大・腫瘍外科学), 大平 雅一(大阪市立大・腫瘍外科学), 石川 哲郎(大阪市立大・腫瘍外科学), 平川 弘聖(大阪市立大・腫瘍外科学)
抄録 目的)膵臓癌は極めて予後不良であり、外科的切除が唯一の根治的治療である。日本膵臓学会の膵癌登録報告2007において、通常型膵癌切除例のMSTは12.5か月で5年生存率は14.5%(1991-2000年)と報告されている。一方、局所進行膵癌に対する化学放射線治療の最近の報告では、MSTが11か月との報告がある。RCTではないので単純に比較はできないが、外科的切除と放射線化学療法のMSTが大きく変わらないということは否定しがたい。実際、根治切除後の早期に再発する症例も数多く存在し、今後このような症例に対し、術前補助療法を行っていく必要があると考えられる。今回、われわれは当科にて膵切除を行った膵癌症例の中で、術後1年以内に死亡した症例の臨床病理学的因子を検討し、術前に術後早期再発例を選別しうるかの検討を行った。方法)1982年から2010年までに当科にて膵切除を行った浸潤性膵管癌163例の中で、術後1年以内に死亡した58例と術後2年以上生存した47例の2群にわけ比較検討した。33の臨床病理学的因子についてFisher exact testあるいはWilcoxon検定を用い単変量解析を行い、多変量解析を多重ロジスティック解析にて行った。<結果>単変量解析の結果、組織型、漿膜浸潤の有無、RP、PV、A、リンパ節転移の有無、ly、v, ne, DPM, R因子, 術前のSpan-1(カットオフ値:85)、CA19-9(カットオフ値:104)の因子が両群間に有意差を認めた。多変量解析の結果、組織型(高分化とその他)、R因子(癌遺残度の有無)、術前のCA19-9値(カットオフ値:104)が独立した因子であった。<まとめ>分化度の低い症例、術前CA19-9が高値である症例あるいはR0手術ができなかった症例は、術後1年以内に死亡する有意な要因であるといえる。その中でも術前に判断しうるのはCA19-9値であり、CA19-9が高値である症例は術後1年以内に死亡するリスクが高いと考えられた。
索引用語 浸潤性膵管癌, CA19-9