セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍3

タイトル 消P-547:

IPMNを除く膵嚢胞性病変の診断アルゴリズムの検討

演者 藤田 光一(北野病院・消化器センター消化器内科)
共同演者 永倉 千紗子(静岡県立総合病院・消化器内科), 栗田 亮(京都大・消化器内科), 淺田 全範(北野病院・消化器センター消化器内科), 八隅 秀二郎(北野病院・消化器センター消化器内科), 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科), 児玉 裕三(京都大・消化器内科)
抄録 【目的】IPMNを除く膵嚢胞性病変ではMCNと充実性腫瘍の嚢胞変性はmalignant potentialを有し、他の嚢胞性病変は概ね良性である。しかし鑑別診断が困難な場合、しばしば診断的切除を施行されているのが現状である。膵嚢胞性病変についてMCNとの鑑別を中心に診断アルゴリズムを作成し、手術例を基にその妥当性について検討する。【方法】MCNの典型所見を、共通の被膜とcyst in cystを有すると定義し、臨床及び画像所見よりIPMNを除く膵嚢胞性病変を以下の5群に分類した。充実性腫瘍に嚢胞が併存する例を「A群:嚢胞変性」、男性または頭部病変、または嚢胞集族・分葉状の形態を示す例を「B群:非MCN」、女性の体尾部病変でMCNの典型所見を呈さない例を「C群:非典型的MCNまたはその他の嚢胞性疾患」、女性の体尾部病変でMCNの典型所見を有する例を「D群:典型的MCN」、壁在結節を有する例を「E群:悪性嚢胞」と定義した。三施設における2006年4月より2011年3月までのIPMN以外の膵嚢胞性病変手術例計32例を上記定義に沿って分類した。【成績】手術例の術後診断はMCN11例、SCN10例、仮性嚢胞2例、Lymphoepithelial cyst(LEC)5例、epidermoid cyst2例、膵壊死1例、膵子宮内膜症1例であった。それぞれを上記アルゴリズムにて分類すると、A群2例(膵壊死1例、LEC1例)、B群12例(SCN8例、仮性嚢胞2例、LEC1例、epidermoid cyst1例)、C群12例(MCN5例、SCN2例、LEC3例、epidermoid cyst1例、膵子宮内膜症1例)、D群6例(MCN6例)、E群0例であった。【考察】A、D、E群は手術適応であり、B群は切除不要であったと考えられる。C群に対しては、より詳細な鑑別診断の検討が必要と考えられた。【結論】IPMNを除く膵嚢胞性病変の診断、治療においてはMCNとの鑑別診断が最も重要であり、不必要な手術を減らすために正診率の高い診断アルゴリズムが必要である。
索引用語 膵嚢胞, MCN