セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍3

タイトル 消P-549:

膵solid-pseudopapillary tumorの臨床病理学的検討

演者 木田 明彦(富山県立中央病院・内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院・内科), 三輪 淳夫(富山県立中央病院・臨床病理科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【目的】当院の膵solid-pseudopapillary tumor(SPT)7例について、術前診断やMIB1 陽性率よりみた病理学的悪性度評価は可能かを中心に臨床病理学的に検討した。【方法】1976年2月から2011年3月までに当院で手術し診断されたSPT7例を対象とした。病理学的には、HE染色に加えMIB1、βcateninも含めた免疫染色も検討した。【成績】SPT7例の男女比は1対6で、平均年齢は35歳(15~72歳)、症状は、無症状4例、腹痛・嘔吐2例、糖尿病増悪1例だった。腫瘍径は、平均7cm(1.5~15cm)だったが、男性例は1.5cmと小さかった。CT上の石灰化は、腫瘍辺縁に2例のみだった。嚢胞は6例で認めたが、腫瘍径が小さく男性例は充実部のみだった。造影効果は、嚢胞部は染まらず、充実部は漸増性だった。膵管圧排は全例に認めたが、画像上リンパ節転移や遠隔転移は指摘できなかった。男性例は、膵神経内分泌腫瘍(NET)が疑われEUS-FNAが施行された。EUSで、内部にacoustic shadowを伴う石灰化を疑わせる所見を認めたが、FNAではSPTと診断できなかった。術前診断は、7例中6例がSPTもしくはその疑いで、男性例はNET疑いだった。切除標本の病理学的検討で、全例にHE染色で偽乳頭状パターンを認めた。脈管侵襲および神経周囲浸潤を2例に認め、うち1例にリンパ節転移を認めた。免疫染色では、クロモグラニンは7例中4例、α1AT、シナプトフィジン、βcateninは7例全例が陽性だった。MIB1陽性率は、3例0%、2例1%以下、残る2例は2%と5%だった。脈管侵襲および神経周囲浸潤ありの2例は、1例が2%で腫瘍径5cm、もう1例は5%で腫瘍径9cm、リンパ節転移を認め、術後8カ月後に肝転移を認め現在化学療法中である。【結論】SPTでは、小さな腫瘍は、嚢胞を形成せずEUS-FNAでもNETと鑑別が難しい例があると思われた。病理学的には偽乳頭状パターンが特徴的だが、免疫染色ではNETと似た所見を示すことが多い一方、NETと異なりβcateninは全例陽性を呈した。MIB1陽性率は、本腫瘍でも悪性度評価になる可能性が示唆された。
索引用語 膵solid pseudo papillary tumor, 臨床病理学的検討