セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍4

タイトル 消P-550:

充実性膵腫瘍におけるMR拡散強調像の臨床的検討

演者 黒澤 浄(千葉大大学院・腫瘍内科学)
共同演者 石原 武(千葉大大学院・腫瘍内科学), 齊藤 将喜(千葉大大学院・腫瘍内科学), 杉山 晴俊(千葉大大学院・腫瘍内科学), 太和田 勝之(千葉大大学院・腫瘍内科学), 三方 林太郎(千葉大大学院・腫瘍内科学), 酒井 裕司(千葉大大学院・腫瘍内科学), 多田 素久(千葉大大学院・腫瘍内科学), 露口 利夫(千葉大大学院・腫瘍内科学), 下総 良太(千葉大大学院・放射線医学), 吉冨 秀幸(千葉大大学院・臓器制御外科学), 大塚 将之(千葉大大学院・臓器制御外科学), 宮崎 勝(千葉大大学院・臓器制御外科学), 横須賀 收(千葉大大学院・腫瘍内科学)
抄録 【目的】MR拡散強調像では見かけの拡散係数(apparent diffusion coefficient(ADC))を測定することで水分子の拡散現象を定量的に評価可能である。近年ではさまざまな臓器で臨床に活用されており、膵領域においても質的診断への応用が期待されている。今回我々は外科治療が行われた充実性膵腫瘍のADC値を測定し、その臨床的意義を検討した。【対象と方法】 対象は2008年1月から2011年2月までに術前にMR拡散強調像撮影が行われた41名(膵癌27名、膵内分泌腫瘍(NET) 9例、Solid pseudopapillary neoplasm(SPN) 5例)である。各症例に対し、0および1000msec時点のDWI信号強度から腫瘍部のADC値を算出した。また膵癌においては、臨床病理学的因子(年齢、性別、腫瘍マーカー、腫瘍径、分化度、遠隔転移の有無)ごとにADC値を検討した。【結果】ADC値は膵癌1.48±0.18×10-3mm2/s、NET 1.85±0.54×10-3mm2/s、SPN 1.11±0.38×10-3mm2/sであった。膵癌vs NET、膵癌vs SPN、NET vs SPNのいずれの群間でも有意差が認められた(p=0.0271、p=0.0430、p=0.0136)。膵癌における臨床病理学的因子の検討では、分化度を高分化、もしくは中分化および低分化の2群に分けたところ、ADC値は前者1.70±0.06×10-3mm2/s、後者1.43±0.18×10-3mm2/sで有意差が認められた(p=0.0095)。他に検討した因子(年齢、性別、腫瘍マーカー、腫瘍径、遠隔転移の有無)では統計学的有意差は認められなかった。【結論】ADC値は充実性膵腫瘍の鑑別に有用であった。膵癌においてはその組織学的分化度とADC値とに関連性が示唆された。
索引用語 ADC, 充実性膵腫瘍