セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍4

タイトル 消P-551:

体外式超音波検査による膵管癌の進展度診断(CTとの比較)-体外式超音波検査はまだまだ役に立つ

演者 若杉 聡(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】体外式超音波検査(以下US)は空間分解能が高く、リアルタイム性も高く、体位変換による評価も容易である。今回我々は、膵管癌の進展度診断をUSで行い、CT、超音波内視鏡(以下EUS)との比較を試みた。【対象と方法】症例は2007年9月~2010年10月に当院で診療された膵管癌92例である。これらについて膵癌取扱い規約に則り、後方組織浸潤(RP)、前方組織浸潤(S)、動脈浸潤(A)、門脈浸潤(PV)、胆管浸潤(CH)、十二指腸浸潤(DU)、リンパ節転移(N)、肝転移(H)、腹膜播種(P)についてUSで評価し、CTと比較した。また手術により病変が摘出された14例について、手術、病理所見との比較を行い、CT、EUS上の進展度診断と比較検討した。【成績】CTでの進展度診断とUSでの進展度診断と一致した症例はRP72例(78%)、S69例(75%)、A68例(74%)、PV80例(87%)、CH79例(86%)、DU68例(74%)、N(67%)、H88例(96%)、P79例(86%)であった。摘出手術が行われた14例では手術、病理所見とくらべて正診された症例はRPではCT9例(64%)、US10例(71%)、EUS8例(54%)であった。SではCT13例(93%)、US13例(93%)、EUS11例(79%)、AではCT12例(86%)、US13例(93%)、EUS13例(93%)、PVではCT10例(71%)、US12例(86%)、EUS13例(93%)、CHではCT10例(71%)、US14例(100%)、EUS12例(86%)、DUではCT8例(57%)、US8例(57%)、EUS13例(93%)、NではCT6例(43%)、US9例(64%)、EUS8例(57%)であった。【考察】CTとUSとの一致率は67%~93%であった。リンパ節転移を除くと、一致率は74%以上であった。ここで問題となるのは、不一致例において常にCTが正しいのかという問題である。そのため、手術症例での正診率を検討したところ、USは必ずしもCTに劣っていなかった。また周囲組織進展においては、EUSよりも正確に診断されていた。【結語】体外式超音波検査はCTに勝るとも劣らない進展度診断能を有しており、今後膵管癌の進展度診断に積極的に使用すべきである。
索引用語 膵癌, 進展度