セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍4

タイトル 消P-553:

膵癌診療におけるPET-CT検査の有用性と限界

演者 行武 正伸(広島大大学院・分子病態制御内科学)
共同演者 佐々木 民人(広島大大学院・分子病態制御内科学), 芹川 正浩(広島大大学院・分子病態制御内科学), 小林 賢惣(広島大大学院・分子病態制御内科学), 斎 宏(広島大大学院・分子病態制御内科学), 神垣 充宏(広島大大学院・分子病態制御内科学), 南 智之(広島大大学院・分子病態制御内科学), 岡崎 彰仁(広島大大学院・分子病態制御内科学), 石垣 尚志(広島大大学院・分子病態制御内科学), 石井 康隆(広島大大学院・分子病態制御内科学), 小酒 慶一(広島大大学院・分子病態制御内科学), 毛利 輝生(広島大大学院・分子病態制御内科学), 吉見 聡(広島大大学院・分子病態制御内科学), 茶山 一彰(広島大大学院・分子病態制御内科学)
抄録 【目的】膵癌に対するFDG-PETは、腫瘤形成性膵炎との鑑別を目的として2002年より保険診療が可能となり、2010年の診療報酬改定にともない膵癌の病期診断・再発診断へと適応が拡大された。今回、我々は膵癌診療におけるPET-CTの役割を再確認する目的で、その有用性と限界について検討した。【方法】2005年3月以降に、手術やEUS-FNABなどにより病理学的診断が確定した膵疾患のうちPET-CTを施行した113例を対象とし、1時間値を用いた良悪性診断能・1時間値に加え2時間値も加味した良悪性診断能について検討した。また、膵癌手術施行例39例を対象としてPET-CTにおけるリンパ節転移診断能、また、膵癌のPET-CT陽性率に与える臨床病理学的因子について検討した。【結果】症例の内訳は悪性疾患80例(浸潤性膵管癌76例、膵悪性リンパ腫2例、mixed endocrine-exocrine tumor 1例)、良性疾患33例(慢性膵炎26例、神経内分泌腫瘍6例、ITN1例)であった。SUV1時間値3.5以上を悪性の指標とした場合、感度83.7%、特異度60.6%であったのに対し、2時間値の増強を加味したものを悪性の指標とすると感度79.1%、特異度74.2%と特異度の改善を認めた。手術を施行した膵癌症例39例中25例にリンパ節転移を認めた。他のモダリティーで評価できなかったリンパ節転移を1例評価できたが、全体として感度は低く、偽陽性の症例も存在した。20mm以下のTS1膵癌はPET陽性率35.3%(6/17)に対し、TS2以上の膵癌は95.4%(21/22)と、TS-1膵癌は有意にPET陽性率が低値であった。また、分化度や線維化の量、HbA1C値について陽性率に有意差は認めなかった。【結論】PET-CTはSUV1時間値に加え2時間値を考慮することが、良悪性の鑑別に有用であった。小膵癌やリンパ節転移の診断能については十分とは言えず、他のモダリティーと合わせて総合的に評価する必要があると思われた。
索引用語 膵癌, PET