セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍5

タイトル 消P-555:

標準化を目指した腹腔鏡下膵中央切除術式の工夫

演者 吉岡 正人(日本医大付属病院・1外科)
共同演者 中村 慶春(日本医大付属病院・1外科), 内田 英二(日本医大付属病院・1外科)
抄録 【緒言】教室では、当院倫理委員会承認後の2004年3月に腹腔鏡下膵切除術を導入し、現在まで腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(Lap-PD)、膵体尾部切除術、膵中央切除術(Lap-CP)、核出術を合わせて71例に施行してきた。その中でLap-CPは、核出術の適応とならない膵頸部と膵体部右側の低悪性度腫瘍に対する機能温存術式として有用な術式であると思われるが、再建術を必要とするため、術式の標準化には吻合操作における工夫が必要であると思われる。今回膵体部neuro-endocrine tumor(NET)に対して施行したLap-CPの術中所見を中心に、われわれの手術手技の工夫点について報告する。【症例】症例は50歳の女性で、身長156cm、体重50kg、BMI20.6kg/m2であった。検診で膵体部腫瘍を指摘され、精査にて1.2cm大のNETと診断しLap-CPを予定術式とした。(術中所見)体位は仰臥位で、トロッカーは5本使用した。網嚢前壁を切開し膵臓の前面を露出した後に、膵体部下縁の漿膜を腫瘍の局在する部位を越えて左側まで十分に切開した。上腸間膜静脈・門脈・脾静脈・総肝動脈を膵臓から剥離し、自動縫合器(ELS)で膵頚部を切離した。左側の膵切離断端を把持し、前方に挙上しながら脾動脈を膵臓から左側の膵切離予定部を越えるまで遊離し、同様にELSで左側の膵体部を切離した。その切離断端の直上の腹壁を4cm切開し、切除標本を取り出した後に同創から直視下に膵胃吻合を施行した。手術時間は459分、出血量は250mlであった。(術後経過)合併症としてgradeAの膵液漏を認めたが、保存的に軽快し第26病日に退院した。切除標本の病理組織学的検査では高分化型のNETと診断された。【結語】本術式は、われわれが報告してきたLap-PDの手法を応用したもので、膵切離部位に合わせて小切開創を作製し、術後の膵液瘻に直結する膵消化管吻合を直視下に施行することができ、鏡視下手術の低侵襲性を損なうことなく外科医が安心して手術を遂行することができる手法であると考えられた。
索引用語 腹腔鏡下膵切除, 膵腫瘍