セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-腫瘍5

タイトル 消P-557:

切除不能局所進行膵癌に対する化学放射線療法の有用性および予後因子の検討

演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院・内科)
共同演者 荻野 英朗(富山県立中央病院・内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【目的】切除不能進行膵癌に対する化学放射線療法(CRT)では、どのような症例で長期生存が得られるのかを検討した。【方法】当院で過去7年間にCRT が施行された切除不能進行膵癌IVa36例とIVb30例の計66例を対象とした。検討因子は年齢、性別、PS、BMI、腫瘍径、局在部位、病期、放射線照射範囲内病変か否か、腫瘍マーカー、治療完遂の有無、糖尿病の有無などとした。黄疸や胆管炎出現例は全例胆管ステントで対応した。腫瘍マーカーはCA19-9値についての検討とし減黄後の治療前で一番低い値を用いた。化学放射線療法はday 1、8、15、22、29、36にgemcitabine(GEM) 250 mg/sqmを投与し、この間1.8 Gy×30回、計54 Gyの放射線照射を施行した。放射線治療終了後は、2~4週間してからGEM 1000mg/sqmを原則3投1休で投与した。経過中に症例の状態により、薬剤の減量・投与間隔を適宜変更して投与した。【結果】化学放射線療法は、66例中61例(92.4%)で完遂可能であり、CR 1例、PR 10例、SD 34例、PD 21例で奏効率は16.7%(11/66)であった。平均生存期間(MST)は363日で2年生存率は22.7%(15/66)、3年生存率は12.1%(8/66)であった。2年以上生存例は、IVaの12例とN3でIVbとなったものの腫瘍が照射範囲内に含まれていた4例であった。予後に寄与する因子は、単変量解析ではCA19-9低値(p=0.023)、病期IVa (p=0.001)、照射範囲内病変(p=0.001)であり、多変量解析では放射線治療の完遂(p=0.032)、局在が膵頭部(p=0.04)、CA19-9低値(p=0.001)が独立した有意な因子であった。CRTを完遂できなかったのは前述の如く5例であり、嘔吐や白血球低下による中止が4例と胆管ステント挿入後の放射線照射開始からは4日目の消化管穿孔を認めた1例であった。【結語】切除不能進行膵癌に対するCRTでは照射範囲内の病変で特に膵頭部癌やCA19-9低値例で治療完遂できれば長期生存が望める可能性がある。
索引用語 膵癌, 化学放射線療法