セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-IPMN1

タイトル 消P-563:

経過観察例からみた分枝型IPMNの病態と治療方針

演者 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 裕也(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 陽介(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 平松 武(名古屋大大学院・消化器内科学), 杉本 啓之(名古屋大大学院・消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大附属病院・光学医療診療部DELIMITER名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的と対象】経過観察例の形態変化からみた分枝型(BD-)IPMNの病態解析を目的とした。対象は2010年12月までに診断したBD-IPMN381例中、12か月以上の経過観察を行った143例及び切除例131例。BD-IPMNの手術適応は造影EUSにて悪性を疑う壁在結節(MN)陽性例(Ann Surg2009)、主膵管(MPD)進展例、有症状例、通常型膵癌(DC)合併例。経過観察はEUS/CTを6ヶ月毎に行い、MN(-)症例は1年毎とした。経過観察例では嚢胞径10mm以上、MPD径3mm以上、MN3mm以上の増大を形態変化(+)と定義した。MNは造影EUSにて血流(+)の隆起性変化とした (EUS-MN)。造影CTでは2mm幅で指摘可能な4mm以上の隆起(CT-MN)とした。【検討項目】経過観察例におけるBD-IPMNの病態検討をKaplan-Meier法にて解析した。1)BD-IPMNの形態変化率2)BD-IPMN自体の悪性化率3)DC発生率4)EUS及び造影CTにおけるMN診断能の対比。【結果】1)経過観察例(平均観察期間49.2か月)における形態変化は嚢胞径増大32例(22.4%)、MPD増大19例(13.3%)、MN増大16例(11.2%)であった。形態変化率(上記何れか)は5年で32.7%であった。2)IPMN自体の悪性化を9例(6.3%:5年悪性化率10.7%)に認めた。形態変化別の5年悪性化率は嚢胞増大(+):(-)=23.3%:10.9%(p=0.078),MPD増大(+):(-)=38.1%:8.2%(p=0.0005),MN増大(+):(-)=55.1%:8.4%(p<0.0001),症状出現(+):(-)=52.1%:9.9%(p<0.0001)。3)DCの合併は5例(3.5%:5年発生率5.2%)に認めた。4)BD-IPMN切除131例の病理組織結果はIPMA:IPMC:IPMN由来浸潤癌:DC合併=62:45:16:10(例)であった。131例の切除例中MN陽性率はEUS100%に対し、CT52.6%であった。更に悪性例中CT-MN(-)は23例(32.4%)であり、EUSのみでMNが指摘可能な症例が存在した。【結語】BD-IPMNは悪性化及びDC合併のリスクを持ち、経過観察においてはMPD径、MNの観察が重要である。EUSは特にMN観察において感度が高く有用な検査法である。
索引用語 IPMN, EUS