セッション情報 一般演題

タイトル 239:

悪性胆道狭窄に対する経乳頭的Niti-S ComVi stentの使用経験

演者 岡部 義信(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
共同演者 菅 偉哉(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門), 斎藤 文彦(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門), 酒井 丈典(久留米大学医学部外科学講座肝胆膵部門), 木下 壽文(久留米大学医学部外科学講座肝胆膵部門), 佐々木 優(社会保険田川病院内科), 鶴田 修(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 【はじめに】近年多くのMetallic stent (MS) が市販され、特に非切除例の中下部悪性胆管狭窄に対するcovered MS (CMS) は一定のコンセンサスが得られている。一方で、未だ多くの問題点があり満足できるものではない。今回我々は、新しいCMS であるNiti-S Com Vi stent (Taewoong社製) が発売となり、その使用経験を報告する。本CMSは、PTFE (テフロン) カバーをインナーstentとアウターstentの間に挟み込んだサンドイッチ構造で、またAxial forceが弱く胆管走行に沿ったstent挿入が期待できる特徴を有している。【対象と検討】対象は2006年8月までに、経乳頭的にCom Vi stentを挿入した非切除悪性胆道狭窄12例(男:女=10:2、平均年齢75.1歳)。疾患の内訳は膵頭部癌8例、肝外胆管癌2例、胆嚢癌(術後再発含む)2例、胆道狭窄の局在は、中部胆管3例、下部胆管9例であった。11例にEST施行し、stent下端を十二指腸に突出させて留置した。デリバリー径が9Frのため、処置用scopeを使用した。対象症例における、stentの挿入性、早期合併症(留置後1ヶ月以内)、後期合併症について検証した。【成績】全例、狭窄部のpre-dilatationは行わず挿入したが、stentの拡張は良好だった。stent展開開始時の抵抗感が強く、予測以上に一気に展開した2例を経験したが、その後は細心の注意を払うことで回避できた。早期合併症は3例に胆管炎を認めたが、保存的加療で速やかに改善した。平均観察期間106.3日(集計時の死亡は3例)で、後期合併症は、胆嚢管閉塞による胆嚢腫大を1例(PTGBDを施行)、stent閉塞を2例に認め、1例は無処置で死亡、1例は腫瘍の急速増大によるstentの位置ずれと食残による内腔閉塞であったが、stentは容易に抜去し得た。stent平均開存期間は104日であった。【結語】本stentは、Axial forceが弱く胆管走行に沿った挿入が可能で、pre-dilatationは行わず挿入したにもかかわらずその後の拡張も良好であった。stent展開開始時の抵抗感の改良が必要と思われた。今後は、他stentとの開存期間の比較や剖検例における詳細な検討が必要である。
索引用語 悪性胆道狭窄, ステント