セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-IPMN1

タイトル 消P-565:

IPMN経過観察例からの膵発癌の危険因子に関する検討

演者 水野 卓(関東中央病院・消化器内科)
共同演者 木暮 宏史(関東中央病院・消化器内科), 松原 三郎(関東中央病院・消化器内科), 瀬戸 元子(関東中央病院・消化器内科), 渡邉 一宏(関東中央病院・消化器内科), 小池 幸宏(関東中央病院・消化器内科), 川瀬 建夫(関東中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm; IPMN)は、自身の癌化に加え通常型膵管癌を合併する率も高く、膵癌の高危険群として知られている。IPMN経過観察例において、膵発癌の危険因子について検討した。【方法】当科でIPMNとして診療した63例のうち、初診時に国際ガイドライン(GL)切除非適応で3か月以上経過を観察しえた44例を対象とした。半年毎の画像検査・腫瘍マーカー(TM)による経過観察を基本とし、GLに基づき切除適応を検討した。GLの基準に近いものでは、3か月毎にTMをフォローした。高度異型腺腫以上を悪性とし、経過観察例では最終画像から3か月以上前の画像をもって良性とした。悪性群と良性群で初診時と経過観察中の諸因子を比較した。【成績】患者背景は、平均年齢72歳、男性43%。経過観察期間は平均34.8か月(3~116か月)。切除が3例で高度異型腺腫2例、浸潤性膵管癌1例。化学療法が2例であったが、2例とも既往症のため非切除であった。悪性5例のうち、嚢胞由来が3例、通常型膵管癌合併が2例。経過観察中の悪性化率は1年2.5%、3年11.5%、5年22.6%であった。良・悪性群で、経過観察期間・年齢・性別・多発/単発・部位に差はなし。初診時サイズに差はないが、増大率は悪性群で高い傾向を認めた(4.8 mm/yr vs. 1.1 mm/yr, P=0.11)。初診時主膵管径は悪性群で太く(4 mm vs. 2 mm, P<0.01)、経過中の膵管拡張(7 mm以上)出現(60% vs. 0%, P<0.01)、壁在結節出現(40% vs. 3%, P<0.01)を悪性群で高率に認めた。Amy・CA19-9の異常は初診時には差はなかったが、経過中には悪性群で高率となった(Amy:80% vs. 28%, P=0.02、CA19-9:60% vs. 21%, P=0.05)。【結論】IPMNの経過観察中には膵発癌が高率に認められた。膵管径の太いものは膵発癌の危険が高く、経過中の増大傾向、主膵管拡張・壁在結節の出現、Amy・CA19-9異常の出現は膵発癌のサインである。
索引用語 IPMN, 膵癌