セッション情報 一般演題

タイトル 209:

過去6年間に当院で経験した上部消化管GVHD(Graft-versus-host disease)の検討

演者 鎌野 宏礼(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科)
共同演者 松浦 隆志(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 田中 厚生(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 添田 博康(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 舛本 博史(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 金 ヒョンジ(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 西条 寛平(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 瀬尾 充(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 相島 慎一(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 病理部)
抄録 移植片対宿主病(Graft-versus-host disease:GVHD)は移植された成熟リンパ球が宿主を非自己と認識し、宿主臓器に障害をあたえる病態をいう。近年の免疫抑制療法の進歩にも関わらず、皮膚、肝臓、消化管を標的とする急性GVHDは同種骨髄移植患者の10-40%に発症する。急性GVHDの典型例では移植後15-25日後皮疹が出現し、次いで胆汁うっ帯性の肝障害や消化器症状が生じる。消化管急性GVHDの発症部位は胃、十二指腸、小腸、大腸である。上部消化管GVHDの症状は、食思不振、嘔気、嘔吐、腹痛が多いが、高度の場合吐血を起こすこともある。下部消化管GVHDの症状は水様下痢、腹痛が多い。消化管のGVHDの診断には内視鏡検査と生検による病理組織学的検査により行われる。GVHD(grade2)以上の発症患者の約半数がGVHDもしくは治療にともなう合併症で死亡し、GVHDは移植の成否に関わる重要な合併症と言える。しかしながら本邦における消化管GVHDのまとまった報告は少ない。そこで、今回当院にて2001年以降に同種造血幹細胞移植後に消化管GVHDを疑われ上部消化管内視鏡検査を施行した44名、58例を検討した。病理組織学的に急性GVHDと診断されたのは25例であった。内視鏡所見は、初期および軽度の場合はいわゆる胃前庭部の表層性胃炎、びらん性胃炎、十二指腸炎など、非特異的な所見も多かったが、一部に亀甲状粘膜が見られた症例もあった。高度のものでは浮腫状粘膜、 Kerckringひだの消失、広範な粘膜脱落、びまん性の出血がみられた。また、高度のGVHDを疑わせる内視鏡所見を呈しながらも病理組織学的には確定診断を得られない症例もみられた。今回の結果に若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 GVHD, 骨髄移植