セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-IPMN2

タイトル 消P-568:

分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍における他臓器癌および通常型膵癌合併例の検討

演者 中原 一有(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 路川 陽介(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 足立 清太郎(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 片倉 芳樹(聖隷横浜病院・消化器内科), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【背景】近年、膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) は、しばしば他臓器癌や通常型膵癌を合併し原疾患以上に予後を左右すると言われている。【目的】 分枝型IPMNにおける他臓器癌および通常型膵癌の合併頻度とその臨床的特徴を明らかにする。【方法】対象は、当科にてEUS、ERCP、MRCPのいずれかで診断した分枝型IPMN116例 (切除例17、経過観察例99) で、男女比55:61、平均年齢71.1歳、平均観察期間919日である。検討項目は、1) 他臓器癌および通常型膵癌合併率、2) 他臓器癌内訳、3) 診断時期、4) 臨床的背景、5) 死因である。4) は他臓器癌合併例と非合併例で比較検討し、統計学的解析にはχ二乗検定、t検定を用いP<0.05で有意差ありとした。【結果】1) 他臓器癌合併率は26.7% (31/116) (切除例4.3%、経過観察例22.4%) で、通常型膵癌合併率は1.7% (2/116) であった。2) 延38の他臓器癌を認め、その内訳は、胃6、乳5、大腸4、胆管3、肺3、尿管3、前立腺3、MDS3、肝2、膀胱2、食道1、十二指腸乳頭部1、腎1、甲状腺1で、5例は二重複、1例は三重複癌であった。3) 診断時期は、他臓器癌は診断前24、同時8、後6で、通常型膵癌は2例とも後であった。4) 他臓器癌合併例は男女比19:12、平均年齢73.9歳で、糖尿病、高血圧、高脂血症の合併率はそれぞれ25.8%、48.4%、19.4%であり、いずれも非合併例と有意差はなかったが、男性 (P=0.07)、高齢 (P=0.09) で多い傾向であった。通常型膵癌合併2例はいずれも男性で、約半年毎の経過観察を行っていたが、診断時にはstage IV進行癌であった。また、全IPMNの18.1%に大腸癌もしくは大腸腺腫の合併を認めた。5) 死亡は8例6.9%で、他臓器癌死が4例と最多で、合併膵癌1、由来膵癌1、その他2であった。【結論】IPMNは他臓器癌 (特に消化器癌) や異所性膵癌を合併することが多く、それらが予後因子となり得るため、経過観察に際しては、他臓器および膵全体の発癌に留意する必要がある。
索引用語 膵管内乳頭粘液性腫瘍, 他臓器癌