セッション情報 一般演題

タイトル 197:

深達度が対照的であったSMT様形態食道癌の2例 / 食道平滑筋腫上に併存した食道癌と粘膜下腫瘍様発育食道癌

演者 石原 淳(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院)
共同演者 石原 昌清(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院), 仲嶺 文雄(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院), 座覇 修(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院), 川根 真理子(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院), 知念 隆之(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院), 中村 献(特定医療法人 敬愛会 中頭(なかがみ)病院)
抄録 【症例1】76歳 男性 主訴:悪心。既往歴:H16年直腸癌根治術。現病歴:H16年直腸癌術後、悪心あり内視鏡施行。切歯から25cmの胸部上部食道にSMTを確認した。表面は一見、正常粘膜に見えたが、ルゴール染色を行ったところ、粘膜下腫瘍上に不染帯が描出された。生検にて中分化型扁平上皮癌と診断。食道癌の粘膜下層浸潤も疑われたが、胸部CTで進行癌の所見は無く、EUSで第2層と連続する大きさ10×6mm、楕円形の低エコー腫瘤を確認。粘膜下層の連続性も確認できたため、進行癌ではなく、粘膜筋板由来の平滑筋腫上に併存した早期食道癌と診断。治療としてEMRが可能と判断した。インフォームドコンセントの後、EMRを施行。病理:squamous cell carcinoma、pT1a, IIb 。平滑筋腫上の食道上皮に扁平上皮癌を認めた。carcinomaは粘膜固有層にわずかに浸潤。脈管侵襲像なし。切除marginはfree。  【症例2】76歳 男性 主訴:無症状 既往歴:H18年4月 大腸癌根治術。現病歴:H18年大腸癌の術前検査として上部消化管内視鏡施行。中部食道にSMT様隆起確認。表面にルゴール不染帯あり、生検で扁平上皮癌を認め食道癌と診断。上記症例1と同様、食道SMT上に食道癌が併存した症例と予想しEUS施行。内視鏡的切除が可能と診断し、今回は、ESDにて切除した。 病理:SCC,poorly,sm,脈管浸潤像なし。切除margin free,深部margin近接。症例1と異なり平滑筋腫の合併がなく、SMT様隆起は、食道癌の粘膜下層浸潤であった。【コメント】症例1については、H17.6本学会九州支部例会にて食道平滑筋腫上に併存した早期食道癌として報告した。その後、症例2を経験、この2症例は、切除前の内視鏡像、EUS所見等で同様の所見を呈したが、切除後の病理で深達度に差があり、症例2には、平滑筋腫の合併がなく、SMT様隆起は、食道癌の粘膜下層浸潤であった。 SMT様形態を呈する食道癌の深達度診断、治療法を選択する上で示唆に富む2例であったので、報告する。
索引用語 食道癌, 粘膜下腫瘍