セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告1

タイトル 消P-576:

Groove領域に発生した膵原発悪性腫瘍の2例

演者 山下 拓磨(屋島総合病院・内科)
共同演者 松岡 裕士(屋島総合病院・内科), 小林 聖幸(屋島総合病院・内科), 横内 桂子(屋島総合病院・内科), 藤田 浩二(屋島総合病院・内科), 佐藤 賢(屋島総合病院・内科), 細見 直樹(屋島総合病院・内科), 阿河 直子(屋島総合病院・内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【症例1】80歳台、女性。1週間前からの右季肋部痛を主訴に来院した。体重は1ヶ月で4kg減少し、黄疸も出現していた。血液検査では肝胆道系酵素および腫瘍マーカーの上昇がみられた。腹部dynamic CTではgroove領域~膵頭部に多数の嚢胞成分を伴った腫瘤像認められた。腫瘤は不均一に造影され、十二指腸や下部胆管に浸潤していた。また主膵管全体に著明な拡張がみられたが、腫瘤内に明らかな狭窄部位は認めなかった。ERCPでは十二指腸乳頭および副乳頭に多量の黄白色の粘液栓がみられた。偏位および閉塞により総胆管への深部挿入は困難であり、膵頭部の腫瘍全体が不均一に造影されるのみであった。groove領域に発生したIPMN由来の浸潤癌と考え、膵頭十二指腸切除術が施行された。術後は本人および家族の強い希望により化学療法は行わず、外来にて経過観察中である。【症例2】70歳台、男性。特に自覚症状はなかった。他科で撮影されたCTにて膵腫瘍が疑われ内科に紹介となった。血液検査では大きな異常は認めず、腫瘍マーカーの上昇も認めなかった。腹部dynamic CTにてgroove領域を主体に造影効果の不均一な腫瘤像を認めた。腫瘍は十二指腸や下部胆管、門脈等に浸潤し、2群リンパ節への転移も疑われた。上部消化管内視鏡検査では十二指腸の全周性狭窄がみられたが、内視鏡の通過は可能であった。同部からの生検病理結果および画像診断結果より、groove領域原発の膵癌と考えられた。狭窄が高度であり、閉塞が危惧されたため胆管および十二指腸ステントを併用留置し、GEM単剤による化学療法を開始した。【考察】Groove領域は膵頭部と十二指腸下行脚、総胆管の間に位置する領域とされている。同部を原発とする膵悪性腫瘍は十二指腸癌や下部胆管癌などの悪性腫瘍の浸潤の他、groove膵炎などの良性疾患とも鑑別が難しく、また非常に稀なため診断に難渋することも少なくない。各種検査を駆使した集学的な診断が必要と考えられた。
索引用語 groove, 膵原発悪性腫瘍