セッション情報 |
ワークショップ2
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タイトル |
研-32:AIHとPBCのオーバーラップ症候群の急性増悪と汎血球減少をきたした一例
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演者 |
田代 朋子(琉球大学医学部附属病院第一内科DELIMITER那覇市立病院) |
共同演者 |
伊禮 史郎(琉球大学医学部附属病院第一内科), 渡辺 貴子(琉球大学医学部附属病院第一内科), 前城 達次(琉球大学医学部附属病院第一内科), 山城 剛(琉球大学医学部附属病院光学医療診療部), 佐久川 廣(ハートライフ病院), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部附属病院第一内科) |
抄録 |
今回我々は肝生検にてAIH、PBCのオーバーラップ症候群と診断され、診断から4年後に急性増悪と汎血球減少をきたした症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は56歳女性。2002年に肝生検査にてAIHとPBCのオーバーラップ症候群と診断されUDCA、PSL内服にて外来加療中であった。肝障害はほぼ正常化しており、2005年10月よりPSLは中止し、UDCAのみで経過をみていた。2006年6月6日頃より全身倦怠感、微熱、褐色尿、下肢のむくみが出現したため6月13日に当科外来受診。受診時、全身に皮膚の黄染を認め、血液検査にてPT% 30.8%、HPT 17%、T-bil 27.7 mg/dl、AST 1062 IU/l、ALT 631 IU/と高度の肝機能障害、WBC 900/μl、Hb 9.7 g/dl、Plt 4000 /μlと汎血球減少を認めたため同日緊急入院となった。肝トランスアミナーゼ優位の肝障害であったため、AIH優位の急性増悪と判断し、入院当日よりステロイドパルス療法を行い、血球減少にいてはG-CSFの投与、血小板輸血にて対応した。骨髄検査では3系統の低形成を認めたが、異型細胞、血球貪食像は認めなかったことより肝炎後の再生不良性貧血と診断した。血球減少、肝障害はともに一時改善したが、第4病日にII度の肝性昏睡を認め、肝障害も再度悪化したため、劇症肝炎と判断し血漿交換を計6回、血液濾過透析を計4回、2回目のステイロイドパルス療法、シクロスポリンの投与を行った。肝炎は一時軽快傾向であったがステロイド減量中に再度悪化した。内科的治療の限界と判断し生体肝移植を検討したがドナー候補がおらず、3回目のステロイドパルス療法、血漿交換を計4回追加したが、その後も肝炎は悪化し、7月30日、第48病日に永眠となった。 |
索引用語 |
オーバーラップ症候群, 汎血球減少 |