セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓-症例報告1
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タイトル |
消P-578:胆・膵悪性腫瘍に合併したTrousseau症候群の3例
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演者 |
荒瀬 吉孝(東海大・消化器内科) |
共同演者 |
川口 義明(東海大・消化器内科), 伊藤 裕幸(東海大・消化器内科), 山本 剛(東海大・消化器内科), 小川 真実(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科) |
抄録 |
【緒言】担癌患者にみられる凝固異常はTrousseau症候群として知られている。同症候群は凝固亢進による脳梗塞の合併頻度が高く、傍腫瘍症候群の一つとされている。われわれは、Trousseau症候群と考えられた3例を経験した。【症例1】79歳、男性。2008年12月右上肢不全麻痺にて受診、頭部MRIにて両側後頭葉を中心に両側大脳・小脳半球に多発する脳梗塞所見を認め入院となった。CA19-9 173.9 U/mlと高値を認め、腹部画像検査にて脈管浸潤を伴う膵尾部癌と診断した。入院後は肝不全の進行を認め、第18病日死亡となり剖検を行ったところ、退形成性膵癌および脾静脈から肝内門脈、上下腸間膜静脈の広範囲に及ぶ連続性の腫瘍塞栓所見を認めた。【症例2】81歳、女性。2011年1月腹痛・食欲不振にて紹介受診、画像検査で膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)の多発肝転移・脾浸潤が疑われた。同年2月失語が出現し、頭部MRIで左中大動脈領域の脳梗塞所見を認め、入院となった。ヘパリン治療継続にもかかわらず第14病日に意識レベル低下・左片麻痺が出現し、右中大動脈領域および右後頭葉領域の脳梗塞再発を認めた。全身状態不良となり、第36病日死亡となった。【症例3】82歳、女性。2011年1月左注視時に複視を自覚、徐々に増悪したため受診となり、頭部MRIで両側小脳・中脳・右前頭葉・右頭頂葉・左放線冠などに多発する脳梗塞所見を認め入院となった。CA19-9 56843.7 U/mlと高値を認め、腹部画像検査にて胆嚢癌の多発肝転移・多発リンパ節転移と診断し、TS-1内服開始となった。ヘパリン治療後複視は改善し、カプロシン皮下注へ切り替え第25病日に退院となった。【考察】いずれの症例も原疾患は進行期であり、D-dimerの上昇を認めていたことから悪性腫瘍に伴う凝固異常により脳梗塞を引き起こすTrousseau症候群と考えられた。治療はヘパリンによる抗凝固療法が標準であるが、しばしば再発をきたし予後不良である。Trousseau症候群は、悪性腫瘍患者の生命予後決定因子の一つとして重要な位置を占めると考えられた。 |
索引用語 |
Trousseau症候群, 悪性腫瘍 |