セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告2

タイトル 消P-582:

経乳頭的膵管ドレナージにて治癒し得た膵体尾部切除後難治性膵液瘻の2例

演者 武部 敦志(淀川キリスト教病院・外科)
共同演者 豊川 晃弘(淀川キリスト教病院・外科), 高瀬 至郎(淀川キリスト教病院・外科), 高橋 穀(淀川キリスト教病院・外科), 若原 智之(淀川キリスト教病院・外科), 小松 昇平(淀川キリスト教病院・外科), 宗 慎一(淀川キリスト教病院・外科), 瀧口 豪介(淀川キリスト教病院・外科), 植田 亜津紗(淀川キリスト教病院・外科), 叶多 篤史(淀川キリスト教病院・消化器内科), 菅原 淳(淀川キリスト教病院・消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院・消化器内科), 岩崎 武(淀川キリスト教病院・外科)
抄録 【はじめに】 尾側膵切除における膵断端の処理はこれまでさまざまな方法が試されてきたが術後膵液瘻の発生頻度は今もなお高率である。膵液瘻の治療には入院期間の延長を要し、感染を合併した場合は出血などの致死的合併症をきたす場合もあり迅速な対応が必要である。我々は経乳頭的膵管ドレナージを行い良好な経過が得られた術後難治性内・外膵液瘻を経験したのでこれを報告する。【症例1】 56才女性 膵粘液性嚢胞腫瘍にて膵体尾部切除施行 膵切離は上腸間膜静脈(SMV)左縁で自動吻合器(Duet TRS)にておこなった。術後ISGPF Grade Aの膵液瘻を認めたが術後8日目に腹腔ドレーンを抜去し12日目に退院となった。術後8ヶ月、腹部CT検査にて径5.0cmの仮性嚢胞を認めた。経内視鏡的膵管造影検査にて嚢胞は造影されなかったがカテーテルの嚢胞への挿入は可能で経鼻膵管ドレナージをおこなった。混濁した膵液の流出を認め処置後7日に嚢胞は消失した。【症例2】 71才女性 転移性膵腫瘍にて膵体尾部切除施行。膵切離はSMV上で自動吻合器(Duet TRS)にておこなった。術後早期より膵断端に挿入した腹腔ドレーより混濁した排液が持続し、術後6日目には腹腔内膿瘍を形成した。ISGPF Grade Bの膵液瘻の診断にてドレーン入れ替えや膿瘍腔の洗浄をおこなったが軽快せず術後110日目に内視鏡治療を施行した。膵管造影で膿瘍腔は造影されずカテーテルの膿瘍腔への挿入も不能だったため膵管ステント(EPS)の留置にとどまったが処置後7日目には炎症は軽快し膿瘍腔も消失した。【まとめ】膵管造影で瘻孔が同定できない症例でも良好な治療効果が得られ、尾側膵切除術後の難治性膵液瘻における膵管減圧の有効性が示唆された。欧米に比べ本治療は本邦において第一選択とはいえないがその高い治療効果より積極的に活用していくべきと考えられた。
索引用語 尾側膵切除, 膵液瘻