セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告2

タイトル 消P-583:

化学放射線療法により5年以上の長期生存を得ている切除不能局所進行膵癌の2例

演者 織田 典明(富山県立中央病院・内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院・内科), 平井 聡(富山県立中央病院・内科), 島谷 明義(富山県立中央病院・内科), 堀田 洋介(富山県立中央病院・内科), 平松 活志(富山県立中央病院・内科), 松田 充(富山県立中央病院・内科), 荻野 英朗(富山県立中央病院・内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【はじめに】われわれは、切除不能局所進行膵癌において、塩酸ジェムシタビン(GEM)単独化学療法に比し化学放射化学放射線療法(CRT)の方が有効性が高いことを発表してきた。現在のところ、CRTを施行した切除不能進行膵癌66例中3例において5年以上の長期生存が得られており、経過が追えている2例について報告する。【症例1】70歳台男性。平成17年7月にA病院にて腹部にUSで膵腫瘍を疑われ、採血上CA19-9高値を認めたため当院に紹介となった。腹部造影CTでは膵体部に一部石灰化を伴った不整形で乏血性の3cm大の腫瘍性病変を認めた。各種画像検査から、ステージIVa(TS4,T4,CH-,DU+,S+, RP+,PVsp+,Ace+,Asp+,Ach+,PLce+)と診断し、治療はCRTを選択した。1.8 Gy/day×30回、計54 Gyの放射線照射を施行し、1週間おきにGEM250 mg/m2を計7回投与した。その後は、隔週でGEM 800mg/bodyの投与を継続した。治療開始5年2カ月後のPET-CTにて右肺上葉の結節影を指摘され、外科的切除を行った。免疫組織化学的には膵原発に矛盾しない所見であった。現在5年9か月経過しているが、肺転移は認めたもののその他の部位に転移所見なく、現在外来化学療法継続中である。【症例2】80歳台男性。平成18年4月に体重減少を主訴に受診し、膵体部の3cm大の腫瘍が発見され、各種画像検査から、ステーIVa(T4,RP+,PV+,Ace+,PL+)と診断された。本例も症例1と同様な方法にてCRTを施行した。CRT終了後は、隔週でGEM 1000mg/body投与していたが、1年10ヶ月後には肝転移の出現を認めたためGEMからS-1 80mg/day内服へ変更した。以後は肝転移の緩徐な増大を認めているが原発巣のコントロールは良好であり、5年経過している現在も生存中である。【結語】CRTにより5年以上長期生存を得ている切除不能局所進行膵癌2例について報告した。いずれの例も局所はコントロールされており、転移部の切除や化学療法継続にて長期生存に至っている例であった。
索引用語 切除不能進行膵癌, 化学放射線療法