セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告2

タイトル 消P-584:

mFOLFOX6+ Bevacizumab全身化学療法併用GEM動注化学療法により病勢コントロールが得られた高齢者切除不能進行膵癌の1例

演者 高橋 稔(札幌共立五輪橋病院・消化器内科)
共同演者 秋山 剛英(札幌共立五輪橋病院・消化器内科), 古川 勝久(札幌共立五輪橋病院・内科), 平田 健一郎(札幌共立五輪橋病院・消化器内科), 大井 雅夫(札幌共立五輪橋病院・消化器内科), 中野 洋一郎(札幌共立五輪橋病院・消化器内科), 岡本 哲郎(札幌共立五輪橋病院・消化器内科), 女澤 慎一(札幌共立病院・内科), 宮西 浩嗣(札幌医大・4内科), 本間 久登(札幌共立五輪橋病院・消化器内科)
抄録 症例は80歳男性。平成22年9月右側腹部の腫瘤を主訴に近医受診。Echo, CTにて腹水・多発性肝転移を伴う膵癌および上行結腸癌疑いの診断のもと当院での動注化学療法および全身化学療法による加療を希望され平成22年12月当院紹介入院となった。当院来院後、右鼠径部ならびにMcBuney’s pointやや上方に移動性に乏しい硬結を触知した。CFでは、硬結を触知する部位に一致して壁外圧迫を示す腫瘤を認めた。またS字状結腸には3型大腸癌様の易出血性病変を認めた。同病変の生検組織検査でGroup 5であった。同組織の癌細胞はCK7陽性、CK20陰性、EGFR陽性であった。腹部超音波・CT検査にてT4, N3,M1(HEP.PER), であり当初触知した硬結は腹膜播種性病変ならびにリンパ節転移と考えられた。S字状結腸病変も腹膜播種性の直接浸潤と考えた。以上よりStage IVb 膵癌 と診断し動注化学療法の適応もない旨をお伝えしたが、患者・家族は膵動注化学療法を含む積極的な治療を希望された。年齢を考慮してGEM1000mg+5-FU250mg/dayをH22.12より開始した。しかし、同治療2週終了時で血液毒性のため治療の延長をせざるを得なかった。画像上膵原発巣は25%以上の縮小を認めるものの肝転移巣などは変化なく抗腫瘍効果としてはSD。その後の治療についてはBSCも考慮すべきと伝えた。しかしながら、膵原発巣に対しては動注化学療法をまた大腸癌化学療法の併用を強く希望された。十分なICを行った上で、H23.1より減量したGEMならびにmFOLFOX6+Bevacizumabを施行した。特記すべき副作用もなく経過し5コース終了時多発肝転移巣はほぼ壊死状態となり腫瘍マーカーも著明に減少した。高齢者進行膵癌症例に対して分子標的薬併用全身化学療法+動注化学療法により特記すべき副作用もなく病状コントロールが得られ貴重な症例と考え若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵癌, 分子標的薬