セッション情報 一般演題

タイトル 215:

腹腔鏡下胃局所切除術を施行した胃神経鞘腫の1例

演者 石川 浩一(中津市立中津市民病院外科)
共同演者 豊増 嘉高(中津市立中津市民病院外科), 島袋 林春(中津市立中津市民病院外科), 江口 大彦(中津市立中津市民病院外科), 橋本 佳子(中津市立中津市民病院外科), 森山 初男(中津市立中津市民病院外科), 岸原 文明(中津市立中津市民病院外科), 福山 康朗(中津市立中津市民病院外科), 松尾 進(中津市立中津市民病院外科), 松股 孝(中津市立中津市民病院外科)
抄録 5cm以下の胃粘膜下腫瘍に対して腹腔鏡下局所切除術が施行されることが多くなってきたが、その報告のほとんどは胃GIST (gastrointestinal stromal tumor) に対するもので、胃神経鞘腫での報告は少ない。今回、腹腔鏡下胃局所切除術を施行した胃神経鞘腫の1例を経験した。症例は70歳台の女性。平成18年3月初旬、頸部の腫脹を主訴に前医受診。精査目的に頸部CT検査を施行、軽度の耳下腺炎と診断された。同時に施行された腹部CT検査にて胃壁の限局性の肥厚を指摘され、上部消化管内視鏡で胃体上部大弯に3cm弱の粘膜下腫瘍と診断された。3月下旬当科外来を紹介受診した。当科初診時は頸部の腫脹を認めず。4月中旬に手術を施行した。術中所見: 1.全麻下に臍下より小開腹、Hasson型トロッカーを、さらに操作用トロッカーを留置。2.腹膜播種、肝転移の所見なし。3.胃体上部大弯壁に沿って大網を切離して、やや後壁側に発赤調の腫瘍を同定。4.腫瘍肛門側半周の胃漿膜筋層を切開、腫瘍の損傷、播種予防のためエンドキャッチに腫瘍を収納しつつ固定した(Evertion and stapling technique)。5.術中内視鏡にて腫瘍が切除されること、胃体部の狭窄をきたしていないこと、噴門部から離れていることをそれぞれ確認した。6.ENDO-GIA60-3.5にてmarginを約1cm確保しつつファイアーした。7.切除した標本をエンドキャッチに収納したのち腹腔外へ摘出した。8.止血確認、内視鏡下に胃内腔に出血のないこと、空気漏れもないことも確認し手術を終了した。手術時間1時間24分、出血量少量であった。病理組織検査では、神経鞘腫(免疫染色にて、S-100陽性、c-kit陰性、CD34陰性、α-SMA陰性), 30mm, 核分裂像なし(0/50HPF), 断端陰性であった。術後経過良好で、4月下旬(第10病日)に退院した。外来経過観察中、術後5ヶ月の現在までに再発の徴候はない。胃神経鞘腫はリンパ節転移頻度がきわめて低く、その外科的治療として腹腔鏡下胃局所切除術は有用である。
索引用語 胃粘膜下腫瘍, 腹腔鏡