セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告3

タイトル 消P-586:

妊婦の成人型Bochdalek孔ヘルニアに起因した急性膵炎の一例

演者 山田 哲(聖隷三方原病院・消化器内科)
共同演者 西田 淳(聖隷三方原病院・消化器内科), 中山 剛(聖隷三方原病院・消化器内科), 久保田 望(聖隷三方原病院・消化器内科), 藤田 博文(聖隷三方原病院・外科), 松田 武(聖隷三方原病院・外科), 田中 智浩(聖隷三方原病院・外科)
抄録 症例は22歳、女性。既往歴・生活歴に特記すべきことない。初回の妊娠にて近医産婦人科に通院中であったが、妊娠31週2日に昼食後から上腹部痛が出現した。夕食後からは嘔気嘔吐が続いた。翌日も症状が続き経口摂取ができなかった。かかりつけの産婦人科を受診したところ、アミラーゼ1342IU/Lと高値であったため当院紹介となり同夜救急外来を受診した。身体所見では腹部軟で心窩部に自発痛及び圧痛を認めた。腹部単純CTにて少量の腹水、膵体尾部に腫大を認め、急性膵炎と診断された。超音波検査にて胎児の状態は良好であった。産婦人科に入院し、精査加療となった。翌朝に消化器内科にコンサルトあり、妊娠週数と胎児の状態から絶食・補液にて保存的治療を継続することとなった。改めて腹部CTを確認すると左胸腔内へ胃が陥入していることが疑われた。横隔膜ヘルニアの存在を疑い、胸部CTを追加施行した。左肺は陥入した胃に圧排され完全に虚脱していた。膵頭部は胸腔内へのヘルニア門付近に存在していると思われた。十二指腸の牽引による膵臓の変形が膵炎の原因と考えられた。治療により腹部症状は軽減し、血液検査所見上も膵炎の状態は改善傾向と思われたが、入院3日目(妊娠31週5日)に母体の呼吸状態が悪化したため、緊急帝王切開および横隔膜ヘルニア根治術が施された。術中所見ではヘルニア門は左Bochdaleck孔であることが明らかになった。術後は順調に経過し、入院11日目に退院となった。現在は母子ともに健康である。膵炎を合併した成人型Bochdalek孔ヘルニアは非常に稀であると思われたため報告する。
索引用語 急性膵炎, 横隔膜ヘルニア