セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告3

タイトル 消P-587:

家族性LpL欠損症による高トリグリセリド血症が原因で発症した急性膵炎の2例

演者 廣島 良規(筑波記念病院・消化器内科)
共同演者 池澤 和人(筑波記念病院・消化器内科), 間宮 孝(筑波記念病院・消化器内科), 杉山 弘明(筑波記念病院・消化器内科), 添田 敦子(筑波記念病院・消化器内科), 中原 朗(筑波記念病院・消化器内科), 松田 健二(筑波大・消化器内科), 石毛 和紀(筑波大・消化器内科), 福田 邦明(筑波大・消化器内科), 安部井 誠人(筑波大・消化器内科), 兵頭 一之助(筑波大・消化器内科)
抄録 【症例】症例1は30歳代男性.30歳時より糖尿病および脂質代謝異常症と診断されたが無加療であった.左上腹部を主訴に2011年3月に当院を受診し、Amy 323 IU/lと高値であること、CTで膵周囲の炎症所見を認めたことから急性膵炎とした.総コレステロール 420 mg/dl、トリグリセリド 3870 mg/dlと著明高値を示しており、脂質代謝異常症が膵炎の原因と考えられた.入院の上で絶食・補液・ナファモスタット投与で速やかな改善を認めた.現在は脂質代謝異常症に対してベザフィブラート内服を開始し、糖尿病に対しては食事療法で外来加療中である.ヘパリン負荷LpL測定で0.112 ng/mlと著明定値であることから、LpL欠損症による高トリグリセリド血症が膵炎の原因と考えられた. 症例2は20歳代女性.24歳時に糖尿病・高脂血症と診断され、インスリン・プラバスタチン内服加療中であった.2010年1月に嘔気、上腹部痛を主訴に来院し、Amy 1079 U/lと高値であることおよびCTで膵周囲の炎症所見を認めたことから急性膵炎と診断した.来院時、総コレステロール 551 mg/dl、トリグリセリド 3442 mg/dlと著明高値を示しており、脂質代謝異常症が膵炎の原因と考えられた.入院の上で絶食・補液・ナファモスタット投与・ウリナスタチン投与で膵炎は改善を認め、現在も外来で糖尿病および脂質代謝異常症の加療中である.ヘパリン負荷LpL測定で 0.067 ng/dlと著明定値であることから、LpL欠損症による高トリグリセライド血症が膵炎の原因と考えられた.【考察】急性膵炎の原因として脂質代謝異常症は1.3%~3.8%を占めるに過ぎず、原因としては稀とされる.しかし、血中トリグリセリドが1000 mg/dl~2000 mg/dlを超えると急性膵炎の発症率が増加するとされている.今回我々は家族性LpL欠損症による高トリグリセリド血症が原因で発症した急性膵炎の2例を経験したのでここに報告する.
索引用語 膵炎, トリグリセリド