セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告3

タイトル 消P-589:

直腸癌の異時性膵転移の1例

演者 中尾 野生(愛知医大・消化器外科)
共同演者 鈴村 和義(愛知医大・中央手術部), 安田 顕(愛知医大・消化器外科), 安藤 景一(愛知医大・消化器外科), 伊藤 暢宏(愛知医大・消化器外科), 野浪 敏明(愛知医大・消化器外科)
抄録 多臓器より転移した悪性膵腫瘍は、臨床的に診断され切除の対象になることは少なかった。しかし画像診断の進歩に伴い症例数は増加傾向にあるが、とりわけ大腸癌の膵転移は稀である。症例は69歳男性、3年前に直腸癌(Rs)で低位前方切除術を施行した。病理組織学的にtub2.se.ly1.v0.pN1.P0.H0.M0.pStage3aであった。退院後LV+FU療法を施行し外来で経過観察をしていたが、徐々にCEA(8.8)の上昇を認め精査をした。腹部CTで腫瘍は約3cm大で膵体部に認められ、膵実質外へ浸潤を軽度認め背側で脾動静脈は腫瘍のため狭窄を認めた。脾動脈幹リンパ節の腫大を認めた。HbAicは6.9%と耐糖能の悪化を認めた。膵体部癌cT3,cN1,cM0,cStage3の術前診断にて、膵体尾部切除術および脾臓摘出術を施行した。病理組織学的にHE染色で直腸癌の組織像に類似し、周囲リンパ節への転移も認められた。免疫染色で、CK7(±),CK20(+),CDX2(+)であり直腸癌の膵転移と診断された。術後はFOLFOX療法を導入し、外来経過観察中である。大腸癌の膵転移例は少なく、その中でも外科的切除が可能であったのは稀である。今回切除可能な異時性孤立性直腸癌の膵転移の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。今後さらなる慎重な経過観察が必要であると考えられた。
索引用語 転移性膵腫瘍, 直腸癌