セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓-症例報告3 |
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タイトル | 消P-590:膵体部腫瘍との鑑別に苦慮した原発巣不明腺癌のリンパ節転移の一例 |
演者 | 本間 直(荏原病院・内科) |
共同演者 | 舩冨 等(荏原病院・内科), 中本 直樹(荏原病院・外科), 竹下 信啓(荏原病院・外科), 江口 礼紀(荏原病院・外科), 吉田 仁(昭和大・消化器内科), 北村 勝哉(昭和大・消化器内科), 野本 朋宏(昭和大・消化器内科), 佐藤 悦基(昭和大・消化器内科), 岩田 朋之(昭和大・消化器内科), 池上 覚俊(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科) |
抄録 | 【症例】64歳男性。2010年春、健診の腹部超音波検査で膵体部近傍に40mm大の腫瘤を認めたため、前医を紹介受診した。上腹部痛や背部痛などの自覚症状はなく、腹部に腫瘤を触知せず、血液検査では腫瘍マーカーを含め異常を認めなかった。健診で指摘された低エコー腫瘤は、超音波カラードプラ法では、腫瘤内部は乏血性であった。造影CTで膵体部近傍と肝左葉外側区域背側との間に43mm×21mmの膵実質よりも低吸収性の腫瘤を認め、肝左葉や胃壁との連続性を認めなかった。MRI拡散強調像では腫瘤に一致して高信号を認めた。膵体部癌・肝胃間膜や後腹膜由来の平滑筋肉腫・GIST・悪性リンパ腫などが鑑別疾患として挙げられた。超音波内視鏡検査(EUS)では腫瘤は内部不均一で明らかな胃・膵との連続性はなく、膵実質を圧排していたが主膵管の狭窄や拡張を認めなかった。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁の壁外性圧排を示唆する所見を認めた。同腫瘤のEUS-FNAによる組織学的所見は腺癌であった。大腸内視鏡検査では横行結腸にポリープを認めるのみであった。諸検査にて明らかな原発巣を指摘できなかったが、膵体部癌によるリンパ節転移も否定できず、本人の希望もあり、同年秋、手術目的で当院に入院となった。開腹にて膵体部上縁に50mm大の腫瘍を認め、周囲組織からの剥離を試みたが、膵実質に連続しており、膵体尾部切除合併脾臓摘出術を行った。病理組織学的には腫瘍はリンパ節であり、膵実質との連続性はなく、転移性腺癌の診断であった。退院後、患者同意のもとにTS-1 120mg/日の投与を開始した。本例は、原発不明腺癌のリンパ節転移巣を唯一の腫瘤として描出し摘出し得た稀な症例と考えられ、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 膵体部腫瘍, 原発巣不明腺癌 |