セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告4

タイトル 消P-595:

自己免疫膵炎の経過観察中に発症した膵癌の一例

演者 長尾 健太(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 清水 京子(東京女子医大・消化器内科), 門前 正憲(東京女子医大・消化器内科), 田原 純子(東京女子医大・消化器内科), 高山 敬子(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科), 大島 奈々(東京女子医大・消化器外科), 君島 映(東京女子医大・消化器外科), 羽鳥 隆(東京女子医大・消化器外科), 久保木 友子(東京女子医大統合医科学研究所), 古川 徹(東京女子医大統合医科学研究所), 成冨 琢磨(済生会栗橋病院)
抄録 【症例】64歳 男性【主訴】なし【既往歴】特記すべきことなし【家族歴】特記すべきことなし【生活歴】飲酒:機会飲酒 喫煙:1日15本を40年【現病歴】2002年3月閉塞性黄疸を主訴に近医を受診した。下部胆管、肝門部胆管に狭窄を認め、胆管癌が疑われ、胆道ドレナージにて経過観察されていた。同年7月の画像検査で病変の改善を認め、IgG4高値、胆汁細胞診陰性、尾側膵管の拡張を伴わない膵頭部主膵管狭窄などより自己免疫膵炎および関連胆管炎と診断された。プレドニゾロン30mg/日より開始され、経過観察されていた。2008年のMRCPで主膵管の拡張を認め膵癌も疑われたが、膵液細胞診陰性であり経過観察となった。2009年9月に膵頭部に18mm大の低エコー腫瘤を認めたため、精査目的に再び当科紹介となった。EUSでも膵頭部に18mm大の低エコー腫瘤を認め、MRCPでは膵頭体部、尾部に主膵管の狭窄を認めた。ERPでは膵頭部主膵管に軽度の狭窄を認めたが、分枝膵管は造影され、膵液細胞診ではclass3であった。PETでは膵に集積を認めず、明らかな悪性所見は認めなかったため自己免疫性膵炎の再燃と考えプレドニゾロンを30mgに増量し尾部の膵管拡張は改善した。定期的にEUSを行い経過観察していたが、2010年12月頃より腫瘍マーカーの上昇を認め、MRCPでは膵体尾部の主膵管拡張を認め、腹部CTでは膵頭部に28mm大の腫瘍を認めたため、精査目的に入院となった。【経過】入院後EUS-FNAを施行し、細胞診でclass5、adenocarcinomaが検出され、膵頭部癌と診断した。当院消化器外科に紹介し膵頭十二指腸切除を施行した。最終診断は浸潤性膵管癌、中分化型腺癌であり、背景膵はIgG4陽性の形質細胞が多数あり自己免疫性膵炎に相当する所見であった。【考察】今回我々は自己免疫膵炎の経過観察中に発症した膵癌の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵癌