セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告4

タイトル 消P-596:

肝偽腫瘍を伴ったIgG4陽性自己免疫性膵炎の一例

演者 吉田 佐知子(群馬大附属病院・病態制御内科学)
共同演者 水出 雅文(群馬大附属病院・病態制御内科学), 橋爪 洋明(群馬大附属病院・病態制御内科学), 山崎 勇一(群馬大附属病院・病態制御内科学), 草野 元康(群馬大附属病院・光学医療診療部), 森 昌朋(群馬大附属病院・病態制御内科学)
抄録 【症例】74歳、男性【現病歴】平成20年より前立腺肥大症で近医加療中。平成22年6月に高血糖指摘、スクリーニングの腹部エコーで胆管拡張を指摘され前医紹介となった。前医CT、ERCP検査で膵臓の瀰漫性腫大、胆管拡張などが認められまた血清IgG4高値もありIgG4関連硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎が疑われ当科紹介入院となった。【既往歴】肝嚢胞、前立腺肥大、【現症、経過】身長166.7cm、体重48.4kg、体温36.1℃、血圧109/66mmHg、脈拍64/分、両側顎下腺腫大硬結、圧痛なし。胸部、腹部特記することなし。血液検査ではWBC 4000/μl、T-bil0.5mg/dl、AST 17 IU/l、ALT 10IU/l、ALP 256IU/l、AMY 140IU/l、CRP 0.6mg/dl、BS221mg/dl、HbA1c8.5%、IgG 2287mg/dl、IgG4 947mg/dlと高値を認め、ERCPを含む画像所見と併せ臨床診断基準より自己免疫性膵炎と診断。入院後腹部MRIで、以前から肝嚢胞の診断で経過観察されていた肝S7の腫瘍は増大しており、FDG-PETでは同部位に強い集積が認められ肝膿瘍や肝腫瘍が疑われたため診断目的に腹部超音波下肝生検を施行した。免疫染色を含めた病理検査では炎症性偽腫瘍の診断となった。その後糖尿病に対しインスリン治療開始し、今後ステロイド導入検討予定である。現在外来で経過観察中だが、その後のCTでは肝腫瘍は縮小し自然軽快の傾向が見られた。【考察】自己免疫性膵炎は全身に多彩な病変を伴う疾患であり稀に炎症性偽腫瘍を合併することが報告されている。炎症性偽腫瘍は肝膿瘍や癌との鑑別が困難であり、本症例でも肝生検による病理学的診断が肝腫瘍の確定診断に有用であった。今回IgG4陽性自己免疫性膵炎に肝炎症性偽腫瘍を合併し、診断に肝生検による病理学的検討が有用だった一例を経験したので報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 肝炎症性偽腫瘍