セッション情報 | シンポジウム3 |
---|---|
タイトル | S1-07:十二指腸濾胞性リンパ腫3例の治療経験 |
演者 | 阿部 寿徳(有田胃腸病院) |
共同演者 | 佐藤 俊三(有田胃腸病院), 河野 洋平(有田胃腸病院), 其田 和也(有田胃腸病院), 板東 登志雄(有田胃腸病院), 有田 毅(有田胃腸病院), 兒玉 雅明(大分大学医学部消化器内科), 村上 和成(大分大学医学部消化器内科), 藤岡 利生(大分大学医学部消化器内科), 加島 健司(大分大学医学部病理部) |
抄録 | 消化管悪性リンパ腫のうち、十二指腸濾胞性リンパ腫は極めて稀である。今回我々は、十二指腸下行脚を中心に発生した濾胞性リンパ腫の3例を経験したので文献的考察を含めて報告する。症例1は、63歳女性で、近医にて十二指腸異常を指摘され来院。主乳頭を中心に大小不同の白色結節状病変が認められた。症例2は、52歳女性で、腹痛・下痢にて来院し、主乳頭対側から前壁にかけて、白色顆粒状の粘膜を呈していた。症例3は、57歳男性で、GERD症状を訴え来院。下行脚から水平脚全体にかけて大小不同の白色結節状病変がびまん性全周性に多発していた。3例とも生検にて、non-Hodgkin's lymphoma, follicular, medium, B-cell (WHO分類 Grade1) という結果が得られた。全身的には異常所見は認められず、Stage1と診断し、患者と十分に相談し治療方針を検討。症例1は、膵頭十二指腸切除術のみを行った。症例2に対しては、手術後にリツキシマブを含む化学療法(R-CHOP)を施行した。症例3では、化学療法のみ(R-CHOP)を行った。現在までのところ、3例とも再発増悪はみられていない(治療終了後観察期間は、症例1は約3年、症例2は2年半、症例3では1年半)。十二指腸濾胞性リンパ腫は極めて稀であり、検索し得た20例においては、年齢は37~72歳(平均59歳)で、1:2で女性に多く、部位は全例 下行部中心だが、十二指腸全体にびまん性に拡がる例は少ない。内視鏡所見では、白色調の顆粒状ないし敷石状隆起が特徴的とされており、3例とも同様所見であった。治療では、手術あるいは放射線療法、化学療法、そしてその両者併用が挙げられるが、自験例においては3症例が3様の治療を行い経過良好であった。ただし、濾胞性リンパ腫は元来indolent typeで、今までwatch&wait の考え方が一般的とされており、種々の治療法の効果に関しては確立されているとは言い難い。現在 rituximab併用化学療法の高い効果が報告され、標準的治療として今後期待し得るものと考えられており、症例の蓄積が望まれる。 |
索引用語 | 濾胞性リンパ腫, 十二指腸 |