セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告4

タイトル 消P-597:

膵外病変として胃粘膜下腫瘍を認めた自己免疫性膵炎の1例

演者 宮原 広典(鹿児島厚生連病院・消化器内科)
共同演者 小薗 雅哉(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 中尾 慎二(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 福田 芳生(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 大石 一郎(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 徳重 浩一(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 谷口 鎌一郎(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 堀之内 博人(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 山筋 忠(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 中村 勇一(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 清水 健(鹿児島市医師会病院・病理部), 坪内 博仁(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎の膵外病変の報告は多数存在するが、消化管に関する報告は少ない。手術症例や内視鏡下の生検による検討などにおいても、IgG4陽性形質細胞の胃粘膜への浸潤は認めるものの、他の膵外病変で認められるような著しい線維化や閉塞性静脈炎の報告はない。今回、われわれは、膵外病変として胃粘膜下腫瘍を認めた自己免疫性膵炎の症例を経験したので報告する。
【症例】症例は58歳男性。2006年5月、54歳時に膵のびまん性腫大とIgG4上昇を認め、自己免疫性膵炎と診断された。プレドニン40mg内服を開始し、その後、プレドニン漸減中に糖尿病を併発したため、2009年10月からプレドニン内服を中止していた。2010年10月、58歳時に体重減少を主訴として当科再診。上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部大弯に約10mmの粘膜下腫瘍を認めた。立ち上がりは比較的急峻で、白色調を呈し、超音波内視鏡検査では第2層~第3層を主座とする低エコー腫瘤であったため、神経内分泌腫瘍を疑った。しかしながら胃粘膜からの生検にて腫瘍性病変は認めなかったため、2010年12月内視鏡的粘膜下層剥離術を施行。病理組織検査にてIgG4陽性形質細胞の浸潤を伴う線維組織の増生を認めた。なお、その後、両側顎下腺の腫大や肺門リンパ節腫大が出現した。
【考察】自己免疫性膵炎は全身諸臓器にIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を来す疾患概念であり、膵外病変の把握は重要である。本症例は、ステロイド内服を中止後に出現した胃粘膜下腫瘍であるが、病理組織学的にIgG4陽性形質細胞の浸潤を伴う線維組織であり、同時期に顎下腺腫大や肺門リンパ節腫大などの他の膵外病変の悪化を伴っていることから、本症例の消化管病変は自己免疫性膵炎の膵外病変であると判断した。まれな症例であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 胃粘膜下腫瘍