セッション情報 ワークショップ2

タイトル 研-43:

SLEに合併したFNHの1例

演者 戸田 直裕(豊見城中央病院 外科)
共同演者 伊佐 勉(豊見城中央病院 外科), 山元 啓文(豊見城中央病院 外科), 金城 光世(豊見城中央病院 外科), 兼城 隆雄(豊見城中央病院 外科), 仲地 厚(豊見城中央病院 外科), 佐久田 斉(豊見城中央病院 外科), 比嘉 淳子(豊見城中央病院 外科), 新垣 京子(豊見城中央病院 外科), 城間 寛(豊見城中央病院 外科)
抄録 【緒言】限局性結節性過形成(FNH)は比較的まれな疾患であると考えられていたが、近年の画像診断の普及、発達により近年は報告例が増加しつつある。現在、病因は明確に特定されていないが、多くは正常肝細胞から発生する限局性の肝細胞の過形成病変であるとされている。今回は全身性エリテマトーデス(SLE)に合併したFNHを経験したので報告する。【症例】23歳、女性。既往歴:避妊目的にピルを服用していた。現病歴:15歳のときからSLEを発症しステロイドパルス(2回)、プレドニン(20~40mg)にて治療し寛解増悪を繰り返していた。平成15年4月(当時21歳)の腹部超音波検査では肝臓に異常陰影を認めなかったが、平成16年2月になり、腹部超音波検査ではS4領域に15mm大の腫瘤を認め、ドップラーにて車軸様パターンを認めた。腹部造影CTでは造影早期相に肝S4の門脈近傍にφ18×14mm大の濃染する病変であり、門脈相および後期相では腫瘤を指摘することができなかった。wash-outの早い病変であり、肝生検にて正常肝細胞しか認められなかったことからFNHを疑い経過観察していたが、平成17年6月になり腹部超音波検査、腹部CTにて腫瘤の増大傾向を認めた(36×19×32mm)ためPEITを2回施行した。しかし、腫瘤の増大傾向は変わらず、平成18年5月には腹部MRIにて4cm大の腫瘤となり明らかな腫大を認めたため平成18年7月24日、肝腫瘤切除術を行った。切除標本ではadenomaの所見はなく、中心瘢痕や、星芒状に伸展する線維帯は明らかではなく、focal cirrhosisの像に類似していたためFNHと診断した。【結語】今回我々はSLE治療中に肝腫瘤を指摘され画像上FNHと診断、経過中に増大傾向を認めたため腫瘤切除施行し確定診断し得た症例を経験したので若干の考察を加え報告する。
索引用語 限局性結節性過形成, SLE