セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-症例報告5

タイトル 消P-603:

急激な転帰を辿ったIntra ductal mucinous carcinoma(IPMC)由来の膵未分化癌と考えられた1剖検例

演者 川上 賢太郎(市立室蘭総合病院・消化器科)
共同演者 金戸 宏行(市立室蘭総合病院・消化器科), 柾木 喜晴(市立室蘭総合病院・消化器科), 一色 裕之(市立室蘭総合病院・消化器科), 内藤 崇史(市立室蘭総合病院・消化器科), 久保 俊之(市立室蘭総合病院・消化器科), 中垣 卓(市立室蘭総合病院・消化器科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院・消化器科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院・消化器科), 近藤 哲夫(市立室蘭総合病院・消化器科), 小西 康宏(市立室蘭総合病院・臨床検査科), 今 信一郎(市立室蘭総合病院・臨床検査科), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 症例は70代男性.主訴は腹痛.平成21年9月より強い腹痛を自覚,10月1中旬に当科を初診した.造影CTで膵体尾部から脾門部にかけて一部に嚢胞性変化を伴う境界不明瞭な造影効果に乏しい腫瘤影を認めた.多量の腹水,肺野に多発する結節影も認めた.腹水細胞診で腺癌の所見を認め,膵体尾部癌,多発肺転移,癌性腹膜炎と診断した.しかし,全身状態は急速に悪化し第12病日永眠した.ご遺族の了解を頂き剖検を行った.肉眼所見では腹膜播腫が著明で,肺と肝に拇指頭大の腫瘍を多数認めた.膵体尾部には一部に多房性の嚢胞伴う腫瘍性病変を認め,胃,大腸,脾と一塊になっていた.組織学的に,嚢胞内に乳頭状増生する腺癌を認め,その周囲には管状腺癌が浸潤していた.MUC5陽性,MUC2一部陽性よりIPMC由来の浸潤癌と考えた.さらに尾側膵には,中型の類円形細胞が腺腔を形成しないまま増生する像の混在を認め,AE 1+3一部陽性,CK 20陰性,神経内分泌マーカー陰性で,未分化癌と診断した.膵尾部は未分化癌で占められ脾に浸潤していた.肺と肝の腫瘍は未分化癌の所見であった.「IPMC由来の浸潤癌」と「IPMCに併存した膵癌」は区別されるべきとされる.本症例では,IPMCと膵未分化癌が近接し,両者の連続性を認めることから,IPMC由来の膵未分化癌と考えられた.
索引用語 IPMC, 膵未分化癌