セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-基礎1

タイトル 消P-605:

抗炎症性マクロファージと肝線維化進展抑制:recombinant CX3CL1による肝マクロファージの抗炎症性作用の誘導と新たな治療法確立の可能性

演者 青山 友則(順天堂大・消化器内科)
共同演者 D. A. Brenner(カリフォルニア大サンディエゴ校), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 ケモカインレセプターCX3CR1およびそのリガンドであるCX3CL1は慢性肝炎で発現増強することが報告されているが詳細は不明である。我々はCX3CL1によるCX3CR1を介した肝マクロファージ(MΦ)の制御に着目し,肝線維化との関連を検討した。[方法]CCl4投与/非投与 野生型(WT)およびCX3CR1欠損マウス(KO)よりMΦを単離し,TNF-α, TGF-βおよび抗炎症性サイトカインIL-10, arginase-1 mRNA発現をqPCRで測定した。recombinant CX3CL1(rCX3CL1)投与WTMΦに同様な検討を行うと共に,AKT, ERK経路との関連を各阻害剤を用いて調べた。肝星細胞(HSC)をcollagen promoter-driven GFPトランスジェニックマウスより単離し、CCl4投与/非投与WTおよびKOより単離したMΦと共培養を行った。また一部のMΦにrCX3CL1を投与し同様に共培養を行った。MΦと共培養後のHSCのコラーゲンプロモーター活性をHSCのGFP陽性細胞数により測定した。さらに、CCl4投与WT, KOの肝線維化, 炎症性変化を検討した。[結果]rCX3CL1投与WTMΦではIL-10, arginase-1mRNA発現が増強したが、AKTおよびERK阻害剤により増強が抑制された。CCl4投与KOMΦはCCl4投与WTMΦと比較しTNF-α, TGF-βmRNAの増強,IL-10, arginase-1mRNAの減弱を認めた。HSCのGFP陽性細胞数はCCl4投与KOMΦと共培養した群で最も多かった。一方、rCX3CL1を投与したCCl4投与WTMΦと共培養したHSCのGFP陽性細胞数はrCX3CL1を投与しなかった群と比較し有意に減少した。CCl4投与後の肝線維化および炎症性変化はWTと比較しKOで増強した。[結語]rCX3CL1はAKT, ERK経路によりMΦの抗炎症性サイトカイン発現を増強した。rCX3CL1によるCX3CR1を介したMΦにおける抗炎症性作用の誘導がHSCの活性を抑制し、肝線維化進展阻止のための新たな治療法になる可能性が示唆された。
索引用語 抗炎症性マクロファージ, 肝線維化進展抑制