セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-基礎2

タイトル 消P-610:

肝組織片の有茎小腸グラフト内移植法の改良と工夫

演者 小暮 公孝(群馬大生体調節研究所)
共同演者 小島 至(群馬大生体調節研究所), 久保 憲生(群馬大・病態総合外科), 和田 渉(群馬大・病態総合外科), 鈴木 秀樹(群馬大・病態総合外科), 桑野 博行(群馬大・病態総合外科), SK.A. Hoque(群馬大・分子予防医学), 星野 洪郎(群馬大・分子予防医学), 幕内 雅敏(日赤医療センター・肝胆膵外科)
抄録 【目的】我々は有効な補助肝臓の開発を目指し、中でもGuputaらの開発した有茎腸管グラフト内への肝組織片移植法(Nature Medicine 10:749-754, 2004)は補助肝臓としての可能性を秘めていると考えその追試を行ってきた。原法では移植後、7日間ほどは充填した肝組織片はviableであったが、それ以降になると肝組織片は次第に壊死融解してしまったが、この点を改良するために幾つかの工夫を行ったので報告する。
【方法】雄性ウイスター系ラット7匹の空腸を用いて長さ2-3cmほどの有茎腸管を作成し、切除した左葉肝をミンチし、腸管グラフト内の粘膜を削いだのち、これを充填し、肝組織片充填有茎腸管グラフトを作成した。この際、改良点として肝組織片充填腸管グラフトの腹側に数個の針穴を開け、グラフト内に貯留した浸出液が腹腔に漏れるように工夫した。また、漏れた浸出液による腹膜炎を防ぐ目的でグラフトを大網で包埋し、従来は肝臓に固定していた腸管グラフトを後腹膜に固定した。
【成績】7日目までの充填肝組織ではグラフトの腸管壁に接する部分の肝実質細胞はviableでPAS染色でもグリコーゲン強陽性であった。今回の改良で30日後でもグラフト内での肝組織塊の壊死融解する割合が小さくなり、大部分の肝組織が遺残していた。
【結論】従来法では肝組織片は有茎腸管グラフト内で7日間ほどは融合して生着するが7日以降は次第に壊死融解してしまうのに対し、腸管グラフトに針穴を開け、腸管内浸出液を排出させ、大網に包みその浸出液を吸収させ、更に、大網からの血管増生によるグラフト血流の増加をはかったことが、肝組織片をグラフト内で長期にわたり生着させることに効果があったと考えられた。更に、工夫を重ね完成を目指したい。
索引用語 補助肝臓, 有茎腸管グラフト