セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-基礎2

タイトル 消P-611:

豚過小グラフト肝移植モデルにおけるA2aアデノシンレセプター作動薬経動脈投与の肝動脈血流に与える影響

演者 柴 浩明(東京慈恵会医大・肝胆膵外科DELIMITERCleveland Clinic, Department of HPB & Transplant Surgery)
共同演者 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 <目的>生体部分肝移植におけるSmall-for-size syndrome(SFSS)では、移植後の肝動脈血流低下、攣縮が重要な役割を担っており、アデノシン経肝動脈投与により改善が得られることを報告している。今回、より選択的なA2aアデノシンレセプター作動薬、Regadenosonの肝動脈血流に与える影響について検討した。<方法>異系交配豚に対し過小グラフト肝移植(グラフトサイズ20%、n=8)を施行。術後1日目よりRegadenoson経肝動脈投与(0.1ug/kg/min)を行い、コントロール群(グラフトサイズ20%、n=8)と術前後の肝動脈、門脈血流、肝組織所見、血液生化学検査について比較検討した。観察期間は術後14日目までとし、生存したレシピエントは犠牲死した。<結果>治療群では、投与後早期に肝動脈血流は2倍まで増加した。全肝血流量に対する肝動脈血流の占める割合は治療群でコントロール群に比べて有意に増加した(術後7日目p<0.05、術後14日目p<0.01)。移植肝組織所見では、治療群で肝動脈攣縮、胆管壊死が有意に少なかった(p<0.05)。また、治療群で肝動脈血栓症(0/8 vs 2/8)、消化管出血(0/8 vs 2/8)の合併が少なかった。生存解析については、治療群1頭を手術時の脾損傷が原因の脾膿瘍で失ったため、治療群7頭で解析、術後14日目まで生存したレシピエントは治療群で4/7(57.1%)、コントロール群で2/8(25%)であった。<結語>選択的A2aアデノシンレセプター作動薬、Regadenosonは、豚過小グラフト肝移植モデルにおいて、移植後の肝動脈血流を増加させ予後を改善する。
索引用語 肝移植, 過小グラフト症候群