セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-基礎2 |
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タイトル | 消P-612:肝臓置換による病態分身マウスの作出と再生医療への展開 |
演者 | 大橋 一夫(東京女子医大先端生命医科学研究所) |
共同演者 | 辰巳 公平(東京女子医大先端生命医科学研究所), 立野 知世((株)フェニックスバイオ), 中井 浩之(University of Pittsburgh School of Medicine), 吉里 勝利((株)フェニックスバイオ), 鵜頭 理恵(東京女子医大先端生命医科学研究所), 岡野 光夫(東京女子医大先端生命医科学研究所) |
抄録 | [背景]遺伝性肝疾患に対する次世代治療として、肝細胞を用いた治療法の確立が期待されている。開発にあたり課題となるのは、(通常培養下では増殖しないため)肝細胞を大量に増殖・確保することと、病態肝細胞に対する高効率な遺伝子修飾法の確立が挙げられる。これら課題に対し我々は、1)自己の病態肝細胞で肝臓が構成される分身マウスの作出、2)分身マウスに対する遺伝子治療法の開発、3)遺伝子修飾済み自己肝細胞を回収して行う細胞遺伝子治療ループの構築について開発を進めており、それらの経緯と今後の展開につき発表したい。[方法と結果]肝病態として肝細胞から凝固第IX因子の発現を欠く血友病Bを一例として取り上げ、分身宿主としてはuPA/SCIDマウスを選択した。血友病Bマウスの成熟肝細胞を分離・精製し、3x105個をuPA/SCIDマウスの肝臓へ移植した。血友病B肝細胞はuPA/SCID肝内で活発かつ連続的な増殖を行うことにより、移植8週目にはuPA/SCID肝臓を完全に置換したことから、血友病Bの分身肝臓化を確認した。次いで、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV-hAAT-hFIX)を用いた分身マウスに対する遺伝子治療を行うことにより、90%以上の分身マウス内血友病肝細胞に遺伝子修飾を行い得ることが明らかとなった。さらに、遺伝子修飾肝細胞を回収し病態自己(血友病マウス)に対する組織工学的治療法の開発により、治療域の凝固因子活性を獲得した。[結語]本研究は、遺伝性疾患の肝細胞が大量に増殖し、マウス肝臓が完全に置換されている病態分身マウス作出の意義を示すものである。患者にとって自己肝細胞が大量に存在し、対外(マウス内)で遺伝子治療が行え、それら自己肝細胞を回収した上で治療法が組み立てることができれば、肝疾患の新しい治療体系としての貢献が期待される。 |
索引用語 | 肝細胞移植, 再生医療 |