共同演者 |
小来田 幸世(市立池田病院・消化器内科), 澤井 良之(市立池田病院・消化器内科), 井倉 技(市立池田病院・消化器内科), 福田 和人(市立池田病院・消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院・消化器内科), 高村 学(市立池田病院・放射線科), 関 康(市立池田病院・放射線科), 竹内 真(市立池田病院・病理診断科) |
抄録 |
【はじめに】近年,肝腫瘍の画像診断においてEOBを用いたMRIやSonazoidを用いた造影超音波検査の登場によって従来のCT,MRI,USに比べ,飛躍的に肝腫瘍の質的診断とりわけ良悪性の鑑別や早期肝癌の検出が可能になってきており,その有用性について,現在多くの報告がなされている.当院においても原発性肝癌の症例には術前全例に造影CT,EOB-MRI,造影超音波検査を施行している.しかし,体外からのUSでは肥満など体型の問題や,横隔膜直下の腫瘍においては必ずしも描出できない症例が存在する.また術中超音波検査(以下IOUS)は,肝硬変の強い症例においては癌と再生結節の鑑別が困難な症例が存在する.そこで,術前の画像診断では指摘できなかった微小な病変の検出や境界病変の良悪性の鑑別診断を目的として,われわれの施設では2009年より原発性肝癌の手術の際にSonazoidを用いたIOUS(以下CE-IOUS)を導入したので,その有用性について報告する.【対象と結果】2009年10月から2011年2月までに当院で原発性肝癌の診断にて肝切除が施行された27例38結節を対象とした.方法は肝切除前にSonazoidを静注し,腫瘍の血流動態を,またkupffer phaseにてdefectを示すのを確認した.病理診断の結果はHCC25例,CCC1例,FNH1例であった.全例にCE-IOUSによる診断が可能であった.術前画像検査にて多発病変を指摘されたのは8例19結節で,そのうち全ての病変を切除したのは4例11結節で年齢,肝機能を考慮し,MCTを施行されたのは4例4結節であった.切除症例のうち5結節は造影CTでは描出されず,EOB-MRIの肝細胞相でのみ描出可能である腫瘍径が最大1.4cm以下の小肝癌であった.CE-IOUSにて新たに腫瘍が指摘されたのは1例1結節であり,腫瘍径0.5cmの高分化型肝細胞癌であった.【結語】Sonazoidを用いたCE-IOUSは肝腫瘍の質的診断と微小な病変の検出に有用であると考えられた. |