セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓-診断(画像)2
|
タイトル |
消P-619:Gd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相にて低信号を呈する非多血性結節の経過
|
演者 |
荒井 邦明(金沢大・消化器内科) |
共同演者 |
山下 竜也(金沢大・消化器内科), 北原 征明(金沢大・消化器内科), 砂子阪 肇(金沢大・消化器内科), 金子 周一(金沢大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】Gd-EOB-DTPA造影MRI(以下EOB-MRI)は,肝細胞相にて高分化型肝細胞癌などの境界病変に対して高い病変検出能を有し,非多血性の結節が多数描出されるようになった.しかしながらどの段階で治療対象とするべきか確立されていない.今回我々はEOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する非多血性の結節の自然経過を検討することで,適切な経過観察方法や対象結節の絞り込みが可能か考察した. 【方法】2008年5月から2009年1月の間,当科に通院または入院にてEOB-MRIを施行し、動脈相で血流増加を呈さず、肝細胞相にてEOB取り込み低下を示す低信号結節を有する慢性肝疾患症例中,これらの結節に対して無治療で経過観察が可能であった32症例63結節を対象とした。男性20例,女性12例,初発11例,再発21例であり,HBsAg陽性9例,HCV-Ab陽性18例であった. 【成績】対象結節の腫瘍径の中央値は11mm(5-26)であり,乏血性と診断したmodalityがMRI単独であったのが16結節,CT併用が16結節,CTとCT-HA/AP併用が31結節であった.観察期間の中央値は15.9ヶ月(4.6-29.2)であった.63結節中8結節(12.7%)が多血化をきたし,49%の結節に腫瘍径増大が認められた.腫瘍径の増大が認められた結節のdoubling timeの中央値は532日(64.6-2267.6)であった.多血化に寄与する因子を解析したところ,男性,HCV抗体陽性,HBs抗原陰性が抽出され,また多血化は75%が1年以内にきたしたことから,観察期間が12ヶ月以内にとどまる結節が有意に多かった.診断時の腫瘍径,T2強調像での信号,CT-HA/AP併用の有無,doubling timeには有意差が認められなかった. 【結論】EOB-MRI肝細胞相低信号結節が多血化する頻度は年率1割程度であり,多血化は1年以内にきたす頻度が高く,特にHCV抗体陽性男性症例では検出後1年間は慎重な経過観察が必要と考えられた. |
索引用語 |
肝細胞癌, MRI |