セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-診断(画像)2

タイトル 消P-621:

肝がん検診におけるARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)導入の有用性

演者 川部 直人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
共同演者 橋本 千樹(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 西川 徹(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 原田 雅生(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 新田 佳史(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 村尾 道人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 中野 卓二(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 島崎 宏明(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 有馬 裕子(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)の発癌には肝線維化が関与しており、非侵襲的に肝線維化を定量化する方法としてAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI)による肝硬度測定が報告されている。これは収束超音波パルスの音響放射圧により生ずるせん断波の伝播速度(Velocity of shear wave; Vs)を測定し肝硬度を推定する方法である。本研究では肝発癌のリスク評価をARFIで行い、がん検診への導入の有用性を検討した。【方法】肝疾患患者1116例についてACUSON S-2000を用いてARFIによるVs(m/s)測定を行った。内訳はHCV感染者608例(うちHCC 39例)、HBV感染者234例(HCC 10例)、その他の肝障害274例(NAFLD 168例、HCC 7例)。【成績】HCV感染者でHCCの有無を判定するためのAUROCはARFI 0.821、ヒアルロン酸(HA)0.862、アルブミン0.793、AFP 0.785、PT 0.761、AST 0.757、血小板0.736で、HAに次いでARFIが高かった。HCCの有無を判定するためのARFIのcutoff値は1.63m/s、感度0.865、特異度0.709、PPV0.164、NPV0.988であった。HBV感染者ではAUROC はARFI 0.891、PT 0.862、血小板0.839、総ビリルビン0.813、γ-GTP 0.720でARFIが最も高かった。cutoff値は1.91m/s、感度0.778、特異度0.932、PPV0.318、NPV0.990であった。その他の肝障害ではAUROC はARFI 0.792、血小板0.910、PT 0.721で、cutoff値は1.88m/s、感度0.833、特異度0.798、PPV0.086、NPV0.995であった。NAFLDのうち非NASH例(155例)のVsは1.22±0.39m/s、画像診断等でNASH疑いとされた8例(2.19±0.64m/s、p<0.0001)や肝生検でNASHと診断された5例(2.09±0.57m/s、p<0.0001)よりも有意に低かった。NASH例と疑い例を非NASH例と鑑別するためのAUROCは0.924でcutoff値は1.3 m/sであった。【結論】ARFIはHCCの有無判定やNAFLDからNASHの拾い上げにも有用で、肝癌ハイリスク患者の特定に有力な診断法である。がん検診への導入で肝癌の早期発見、予後改善に寄与できる。
索引用語 ARFI, 肝細胞癌